研究課題/領域番号 |
24700122
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研究機関 | 東北工業大学 |
研究代表者 |
水野 文雄 東北工業大学, 工学部, 講師 (20432289)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | バーチャルリアリティ / ユーザーインターフェース / 両眼視野闘争 / ディスプレイ / 認知科学 |
研究概要 |
申請者らは、ユーザがカメレオンのように両眼に任意の独立した視野を得る装置「バーチャルカメレオン」の開発を行い、評価実験を実施してきた。評価実験の結果、行動の応答性は低減するが、両眼で異なる方向の視野を与えられても周囲を視認することが明らかになった。しかし、ユーザ間の応答性については、大きく差が生じており、その原因として申請者らは異なる二つの視野に対する注意について着目した。本研究では、多感覚情報に基づく注意生成により、擬似的な両眼独立視による両眼視野闘争下の全方位視認の視覚情報量の増大と応答時間を向上するため、擬似的な両眼独立視に加え、周辺環境音と周辺物体までの距離などの感覚情報を、聴覚および触覚に変換して呈示するシステムの開発および実証研究を実施する。本研究では、従来システムに対して聴覚などの周辺環境情報を取得する機能を追加した装置開発を行う必要があり、従来システムの操作方法の改善を行う必要があった。そこで、平成24年度ではまず、バーチャルカメレオンに搭載されたカメラを任意の方向に動かすと同時に、追加機能の役割を果たす装置の操作も可能とするインタフェースおよび手法の確立を行うことにした。 従来システムでは、両手に把持した3次元位置センサを用いることで装置に搭載された2台のカメラを任意の方向へ向けていたが、ここでは3次元位置センサに小型のトラックボール入力デバイスを追加し、併用することとした。本手法を用いることで、追加装置の操作のみならず、カメラ姿勢制御時において様々な姿勢制御様式を擬似的に生成することが可能になった。これにより、本装置使用時において生じる両眼視野闘争の視知覚の交代現象における視覚の優位期間とその強さに影響を及ぼし、その結果としてユーザが装置の操作手技によって視知覚の優位性を調整し、全方向視知覚の状態向上を図り行動の応答性の向上は図る可能性が考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究の目的の一つとするシステム開発の課程において、システムの操作インタフェースの開発を行ったところ、その使用方法によっては従来システムに単純に適用した場合でも本研究の目標である視覚情報量の増大と応答時間向上を可能性が生じ、追加で検討を行う必要がある項目が増えたため。
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今後の研究の推進方策 |
本研究における装置開発過程において追加の検討項目が生じてしまったため、現時点では達成度で述べた通り開発とそれに伴う実験が充分に実施できているとは言えない状況である。従って、今後の研究遂行においては、計画時に想定されていた開発項目の整理を行い、また、検証過程においても、増大してしまった検討項目を整理した上で効率的に被験者数による検証実験を行うことになる。
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次年度の研究費の使用計画 |
現在の達成度のやや遅れているという自己点検による評価は、目標達成に向けた検討項目の増大に伴う装置開発が原因である。今年度は、計画達成に向けた装置開発を行うための物品費購入費と、また成果発表に伴う旅費や出版費などが研究費の使用の中心となると考えられる。
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