研究課題
これまで申請者らは、ユーザの両眼に任意の独立した視野を与えてヒトの感覚を拡張する装置「バーチャルカメレオン」の開発を行い、装着時におけるヒトの行動や判断能力を評価する実験を行ってきた。評価実験の結果、行動の応答性は低減するが、両眼で異なる方向の視野を与えられても周囲を視認することが明らかになった。しかし、ユーザ間の応答性については、大きく差が生じており、その原因として申請者らは異なる二つの視野に対する注意について着目した。本研究では、多感覚情報に基づく注意生成により、擬似的な両眼独立視による両眼視野闘争下の全方位視認の視覚情報量の増大と応答時間を向上するため、擬似的な両眼独立視に加え、聴覚や触覚などの多感覚情報を呈示するシステムの開発および実証研究を実施することとした。本研究では、従来システムに対して聴覚などの周辺環境情報を取得する機能を追加した装置開発を行う必要があり、従来システムの操作方法の改善を行う必要があった。平成25年度では、システム開発の継続と共に平成24年度においてた操作の自由度を増やすためトラックボールにより機能拡張を行った操作デバイスを用いた検証実験を実施した。トラックボールを組み合わせることにより、カメラ姿勢制御時において様々な姿勢制御様式を擬似的に生成することが可能になり、本装置使用時において生じる両眼視野闘争の視知覚の交代現象における視覚の優位期間とその強さに影響を及ぼし、その結果としてユーザが装置の操作手技によって視知覚の優位性を調整し、全方向視知覚の状態向上を図り行動の応答性向上の可能性が考えられたためである。検証実験では、与えられたタスクに対する応答性で、従来と比較して最大でおよそ32.7%の時間的な向上が見られた。このことから、視覚行動に対しても他の感覚や動作が、全方向視知覚の状態向上を図り行動の応答性の向上に関連すると考えられる。
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Multisensory Research
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