研究課題/領域番号 |
24700130
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
斎藤 寿樹 神戸大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (00590390)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | アルゴリズム / ZDD / 区間グラフ / 独立集合問題 / 支配集合問題 |
研究実績の概要 |
本研究では,区間上の独立集合問題,区間上の支配集合問題の3つの問題に対して,省領域でかつ効率的なアルゴリズムの開発を行った.既存研究においては,十分な計算領域を持ったアルゴリズムが多く,さらにアルゴリズムの計算時間は入力サイズのみに依存することがほとんどである. それに対し,開発したアルゴリズムは単に省領域で動作するというだけでなく,任意の領域サイズで動作するため,時間と領域のトレードオフを与えることができる.つまり,アルゴリズムを適用することで,計算資源から計算時間の見積もりをより精細に行うことができるのである.また,アルゴリズムの計算時間は出力サイズに依存したものであり,出力サイズが小さい場合には,アルゴリズムは非常に効率的に動作する.特に近年注目を集めているビッグデータに対しては,入力サイズが膨大であるため,入力サイズに依存しない計算時間を持つアルゴリズムが極めて重要である.本研究では,そうした実用的にも優れた有用な研究成果を得ることに成功した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の目的とは方向性が若干変わったものの,優れた研究成果を得ることができている.特に,ビッグデータはすべてのデータをメモリ空間に格納することはできないため,区間データを処理するための省領域アルゴリズムは,巨大な区間データを処理する上で,必要不可欠なテーマである.2014年度はこのテーマに着目し,極めて効率的なアルゴリズムの開発に成功したのである. これらの研究以外にも,ソーティングネットワークや競争的施設配置問題に対する研究を行い,優れた研究成果を挙げることができた.また,ZDDと呼ばれるデータ構造を用いた高速なグラフアルゴリズムについて,本の1つの章の執筆を行った.このように様々な角度から本問題について挑戦していることで,相乗効果が得られている.
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今後の研究の推進方策 |
現在,開発した省領域アルゴリズムを,計算機科学における基礎的な問題である,ソーティングに適用できることがわかっている.具体的には,同じ要素が複数存在するデータに対してソーティングを行うとき,本アルゴリズムではそのデータの種類の数に依存する計算時間で問題を解くことができている.しかし,一方で,本問題に対する下界,つまり,少なくともこの問題を解くために必要な計算時間がどれほどのものか,ということが現時点ではわかっていない.そのため,本年度はマルチセットソーティングに対する下界の証明に挑戦する. また,本研究で得られた研究成果を国際会議および論文誌に発表するとともに,本研究により得られた人脈を活かして研究議論を引き続き行っていく.
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次年度使用額が生じた理由 |
2014年8月から2015年3月まで,JSPS二国間交流事業における特定国派遣研究者として,David Kirkpatrick氏(UBC, カナダ)を訪れていた.この期間,この在外研究で研究議論に集中していたため,研究成果を発表するための国際会議への参加等を見送った.
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次年度使用額の使用計画 |
主に国際会議への参加および発表のために使用する.また,研究成果をまとめるために必要な物品の購入や英文校正のために使用する予定である.
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