本研究の目的は,すでにある程度強いプログラムが作れるようなゲームを対象に,(1)プレイヤの力量に合わせ,(2)不自然な手抜きが少なく,(3)戦略が多様であるような,相手プログラムを作成する技術を確立することである. この目的に対し平成25年度は,囲碁,オセロについては24年度の成果を発展させそれぞれ査読付き学術会議に採択された.さらに,一人パズル,戦略ゲームなど別種類のゲームについても取り組みを開始し,それぞれ査読付き学術会議に採択された. 囲碁については,主に強さのためにモンテカルロ木探索に「自然な着手」を重点的に探索させる研究(CG2013に採択),手加減を適切に行う手法の発展と被験者実験(CIG2013に採択)を行い,これが最も大きな成果である.オセロについては自然さを再現するために必要な「パターン」を手動ではなく自動で獲得するための手法を開発した(IJEEに採択). 一人パズルには相手プログラムは必要ないが,面白い問題を生成するプログラムのために,本課題で培った「自然さ」「力量に合わせる」「多様さ」を活用することができるため,発展的研究として行った(GPW2013に採択). 囲碁やオセロ以外のゲームについてもプラットフォームを整備することは本課題の副目的の1つであった.そこで,ターン制戦略ゲームの学術用プラットフォームを作成・公開し(GPW2013に採択),さらにその比較的強い相手プログラムを作る方法を提案した(E&Cシンポジウムに採択).この対象については手加減をするプログラムまでは到達していないが,今後の発展が期待できる.
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