研究課題/領域番号 |
24700145
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研究機関 | 北陸先端科学技術大学院大学 |
研究代表者 |
DAM HieuChi 北陸先端科学技術大学院大学, 知識科学研究科, 准教授 (70397230)
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キーワード | シミュレーション / データマイニング |
研究概要 |
本研究は “MDシミュレーション”、”データマイニング”、”物理・生物的解釈と評価”のプロセスからなり、水和水の定量的な評価方法の手法確立する為に、24年度に(a)データマイニング・MDシミュレーションの融合(DM/MD融合法)による解析手法の最適化と(b)生体系シミュレーションへの適用と水和水の定量的評価を遂行した。25年度に(a,b)の研究成果を拡張し、溶媒水分子の定量的な分類と溶液構造の新規解釈の課題に着手した。 DM/MD融合法による溶媒水分子の定量的な分類と溶液構造の新規解釈: これまでに様々なノウハウがある実空間での水分子とタンパク質との距離やタンパク質の周りの水分子の存在確率分布などの評価と(a,b)で得られた水和水の定量的評価との比較を行い、溶媒水分子の定量的な分類と溶液構造に関する解釈を遂行し、水分子の定量的な動的な振る舞いの妥当性に関する評価を行った。タンパク・リガンド結合系を対象に、全水分子、全MD時間領域に対して正規分布を与えるような変換と主成分解析を組み合わせて処理し、純水系と水+タンパク質系を比較することによって、水和水を特徴空間上の領域として定義しMD空間上で可視化することに成功した。また、Lasso正則化線形モデルによりGMM特徴空間の構造を解析し、物理パラメータ間の決定構造を推定した。さらに、実空間での水素結合ネットワークのカオスや複雑現象に埋もれた水分子間の構造と発生メカニズムを評価するためにカオス自由度を考慮した水分子の分類法を検討した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究では古典MDシミュレーション並びに第一原理シミュレーションを行う必要があるが、申請者は既に十分な経験を有しているため、データ生成に関しては当初の計画通りに進んでいる。また、データマイニングの解析においては、特徴空間の設計が解析の成敗のカギとなっており、本課題解決には申請者のこれまでの研究経験と共に研究協力者の協力を得て、生物学的・物理学的視点やノウハウを活用し遂行する事で最適な写像を設計できたため、データマイニングの解析が順調に進展した。本研究は発展的にアイデアを得て実行した研究であり,研究遂行する上で派生的な成果が得られた.水和水についてのデータマイニング手法に関する論文を準備中である。また、得られた結果を、2つの国内学会、1つの国際学会において発表した。以上からおおむね順調に進展していると評価した。
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今後の研究の推進方策 |
当初の研究計画通り、前年度の研究成果を拡張し、下記の課題に着手する。 - DM/MD法による溶媒水分子の定量的な分類と溶液構造の新規解釈 前年度の研究で水溶液中のタンパク質に対して行った古典MDと、より小規模な系で行う第一原理MDのシミュレーション結果を比較検証し、特に水素結合ネットワークと溶媒水分子のクラスターの自由度について妥当性を検証する。また、カオス自由度を考慮した水分子の分類法を用いて解析を行い、このデータマイニングによって目視の延長線上にある実空間でのネットワーク構造のみならず、カオスや複雑現象に埋もれた水分子間の構造と発生メカニズムを発見する。 - 溶媒ダイナミクスからのタンパク質ダイナミクスの理解 水溶液中のBarstar遺伝子(PDBID:1BTA)・Barnase遺伝子(PDBID:1BNJ)及びそのドッキング構造のMDシミュレーションを行い、タンパク質がドッキング構造を取った場合の水溶液ダイナミクスの変化を確認する。本研究ではこの逆問題として「水溶液のダイナミクス変化 からタンパク質間相互作用の有無やタンパク質のコンフォメーション変化を伴うダイナミクスの予測」を課題に設定し、ここまでの成果を用いて相関ルール(association rule)を採掘する。
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次年度の研究費の使用計画 |
記憶媒体(ハードディスク)を購入する予定だったが、納品の期間が遅れたため処理できなかった 記憶媒体(ハードディスク)を購入する予定
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