研究課題/領域番号 |
24700146
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研究機関 | 北陸先端科学技術大学院大学 |
研究代表者 |
佐野 勝彦 北陸先端科学技術大学院大学, 情報科学研究科, 助教 (20456809)
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キーワード | Dynamic Epistemic Logic / Modal Logic / Hybrid Logic / Agent Communication |
研究概要 |
本研究には A) 時間次元を組み込んだ命令・許可による義務変化の形式化,B) エージェント間通信の多次元HLによる形式化,C) 多次元HLの証明論的研究,の3つの課題が存在した.今年度は,昨年度のB), C) に関する研究の成果発表に取り組む一方,更に A), B) の研究に取り組んだ.第一に,昨年度の馬明輝氏との研究成果を,国際ワークショップLORI-IV, 国際会議 Asian Logic Conference, 国際会議 TbiLLC 2013 において成果発表を行った.第二に,課題A) の研究として,昨年度のチャンネル概念を組み込んだエージェント通信の様相論理の発想を拡張し,あるエージェントが別エージェントへの許可行為「Aしてもよい」を組み込んだ動的信念論理を与え,法学における「勘違い騎士道事件」を具体例にエージェントの信念変化が捉えられることを明らかにした.この成果については国際ワークショップJURISIN2013に於いて発表を行い,post-proceeding への論文採録が決まっている.最後に,B) に(とC)にも)関連する成果として,Facebook等のSNSにおける知識・信念の変化を捉える論理であるSeligman らによる Epistemic Logic of Friendship (Facebook Logic とも言われる,多次元ハイブリッド論理の部分体系)に対して,ラベル付き式計算を与え,さらにヒルベルト流の公理系をも明らかにした.この研究成果についてはSeligman らとも意見交換をした上で本年度に国際学会へ投稿予定である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
課題A)については当初「許可」(告知によりクリプキモデルの到達可能性を増やすことに対応)を動的認識論理でどのように形式化するかに困難が予想されたが,本年度の研究により命令と許可の両方を扱う動的論理への展望が開けた.これにより時間を含めた命令・許可についての研究に見通しを得ることができた.課題B)に関しては,昨年度同様,研究協力者の東条敏教授との議論を通じて,想定していた研究課題だけではなく,課題A)の発想と合わせることで,法学への応用(裁判官の信念変更を記述)を伴う研究成果を残すことができた.課題C)については,ハイブリッド論理やFacebook Logic の研究に携わっている Jeremy Seligman 氏(オークランド大学)との議論を通じて当初の課題(特にハイブリッド論理の多次元積にゲンツェン式計算を作る)を達成する発想と見通しを得ることができた.
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今後の研究の推進方策 |
最終年度へ向けて3つの課題A), B), C) の実現へ向けてある程度の見通しが立てられる段階となった.課題A) については時間を伴わない命令・許可の動的信念論理を時間付きの許可・命令へと拡張する.また,課題B)については動的認識論理のAction Model (Product Update)のアイデアをチャンネル通信に活かせないかを検討する予定である.また,昨年度と同様に,北陸先端科学技術大学院の情報科学研究科の東条研究室(執筆者の所属研究室)では,2014年7月から Academy of Finnland からの派遣で Jonni Virtema 氏を特別研究員として受け入れる予定である(滞在費用は本科研費とは無関係).Virtema氏は上記の研究課題C)の多次元ハイブリッド論理の決定可能性の問題に興味を持っており,共同研究を行う予定である.
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次年度の研究費の使用計画 |
研究課題遂行中に研究成果発表ための学会参加費用が当初よりも多くかかることが見込まれた.そのため,昨年度予定していた計算機の購入を控えた.結果,計算機購入相当額が次年度へ繰越されることとなった. 次年度の費用と合わせ計算機購入に当てる.
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