研究課題/領域番号 |
24700154
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研究機関 | 独立行政法人理化学研究所 |
研究代表者 |
ZHAO QIBIN 独立行政法人理化学研究所, 脳信号処理研究チーム, 研究員 (30599618)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | Machine learning / Tensor analysis / Kernel machines / Bayesian inference / Brain computer interface / EEG Hyperscanning / Brain signal processing |
研究概要 |
高次部分最小二乗とスパース高次最小部分二乗を用いた回帰分析など、新たなテンソル分析に基づく機械学習モデルとアルゴリズムを提案した。 まず、テンソル分析としてまったく新しい考えであるテンソルカーネルを導入した。この考えを基に回帰分析や分類のための手法としてカーネルベースのテンソル部分最小二乗、テンソル正準相関分析、テンソルベースのガウス過程などのテンソル分析法を開発している。これらのテンソル分析法を、事象関連電位の分析と心理BCIに応用することに成功した。それらのいくつかは国際的な共同研究として行っている。またハイパースキャン手法という新しい実験方法を考案した。これは、複数の人間の脳信号を同時に記録することを目的としたものである。 新たに提案した方法とアルゴリズムの概要は以下の通りである。①ガウス過程に基づいたテンソル回帰、分析など教師あり学習 ②変分ベイズアプローチによるテンソル因数分解法、テンソルランク学習、テンソルを用いた欠損値の補完など教師なし学習 これらの結果は、すでに査読付き国際誌や国際会議に採択されており、特に内2本はトップジャーナルであるIEEE Transactions on Pattern Analysis and Machine Intelligence、IEEE Signal Processing Magazineに、内1本は権威ある学会AAAI 2013に採択されている。合計で論文数は7本である。(学会誌4本、国際会議2本、書籍1本)
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
テンソルに基づく手法のための新しい方針を開発したため、期待以上の結果を得ている。また、テンソルデータのための確率的カーネルの考えを世界で初めて提案し、多重線形テンソルに対する手法を非線形テンソルへと拡張する端緒を開いた。これによりテンソルの様々な構造についての解釈が可能となる。
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今後の研究の推進方策 |
第一の目標は、論理的な解析及び多くの実験を更に検証し、提案したモデルやアルゴリズムを改善し性能を向上させることである。 第二の目標は、提案したテンソル方法を用い、BCI性能を向上させる。 第三の目標は、人間の相互作用における脳波を認識し、提案したテンソル方法を用いた新たなBCIを開発する。 このために、共同作業を行うことで、被験者間に相互作用を引き起こす同一精神的タスクを扱ったハイパースキャン実験を実施する。一人の被験者の脳波から人間の多様な行動を予測することは不可能である。そのため、ハイパースキャン手法による脳波を分析することで、複数被験者間から脳の接続パターンを抽出し、予測することを目指す。 また、BCIの性能向上、また人間の相互作用によって誘発される新たなEEGパターンを発見するとともに、提案したテンソル回帰・分析手法をハイパースキャンEEGデータとBCIデータに適応することを目標とする。 その成果をより多くの国際学会誌や会議への投稿することを予定している。
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次年度の研究費の使用計画 |
前年度、新たな解析手法を開発したため、より多くの検証実験、より高度な実験を行う必要が発生した。実験準備が整うのが次年度に繰り越したため、人件費、被験者謝金などに使用する予算の繰り越しが発生した。また、12月に予定されていた国際会議が次年度に延期になったため、旅費使用を次年度に行うことにした。次年度の使用計画は (1) ハイパースキャン実験に使用するためのタブレット端末、高度な計算を行うためのPC、ラップトップPC、ハードディスク、ソフトウェア などの購入 (30%) (2) 成果発表のための国際会議旅費、参加費(30%) (3) 人件費、謝金等(40%)
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