画像中の色認識は、コンピュータビジョンにおいて最も重要な課題のひとつである。色を定量的に扱うには人間の色覚に基づく色識別モデルが必要となり、照明光の変化に伴って変化する多くの物体色に対して、全ての色を人間と同じように色名に分類して認識する技術が必要とされている。本研究では、人間と同じように色認識ができる次世代の知的カメラアプリケーションの実現を目的として、人間の視覚特性を調べる心理物理実験を行い、その結果を用いて色恒常性を備えたカテゴリカル色知覚モデルを獲得する。 まず人間の視覚特性を調べる心理物理実験を行い、その結果を用いて色恒常性を備えたカテゴリカル色知覚モデルを獲得する。これにより、人間と同様に色認識可能なロボットビジョンを開発することができる。このとき、進化計算法を用いて任意の構造を学習する進化的ニューラルネットワーク手法を用いることでシンプルな構造のモデルで実現し、得られたモデルから人間の色覚メカニズムの推定に繋げる。これまでに心理物理実験を元にした工学的に応用可能なモデルはほとんどなかったことから、本研究は視覚心理物理分野と工学分野を結ぶ研究としても意義が高い。 本研究は、1)心理物理実験による色知覚データの獲得、2)解析のしやすい色知覚モデル構築手法の開発、3)実環境データに適用可能な色知覚モデルの構築とその解析、4)知的カメラアプリケーションの開発という4つのフェーズからなる。平成25年度には、平成24年度までに開発した色知覚モデルを用いて画像中の色認識を行うことを目的とし、4)知的カメラアプリケーションの開発を行った。また、開発したアプリケーションを動画像にも適用し、監視カメラを想定した状況での色認識システムを構築した。
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