研究課題/領域番号 |
24700160
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
大村 吉幸 東京大学, 情報理工学(系)研究科, 助教 (10598022)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 知覚情報処理 / 感覚行動システム / 手のモーションキャプチャ |
研究概要 |
本研究の目的は、人の手の器用な動きを計測するための装置を開発し、人がいかに接触を制御しているか調べることにある。開発する計測装置は、人の手に高密度に触覚センサを実装し、姿勢データと同期して計測可能なものである。 独自開発した「フレキシブル基板の任意の位置に小型・柔軟触覚センサエレメントを実装する技術」を用いて、片手1000点以上の圧力センサを持つ触覚センサの開発を行った。圧力検知部は、電極、スペーサ、抵抗膜フィルムからなり、抵抗膜フィルムが電極と接触する際の抵抗変化を検出する。抵抗膜フィルムには切り込みがあり、曲げに対しては反応しにくく、圧力に対して反応する圧力センサとなっている。従来からあるフレキシブル基板の生産工程をそのまま利用しているため、そのまま量産化可能な技術となっている。本年度は、スペーサ部分の薄型化、抵抗膜フィルムの再検討、圧力検知部に突起をつけることによる高感度化を行い、日常動作における接触を検知可能とした。 また、触覚センサと同期して手の指の姿勢を計測し、人の手指の運動を再構成する技術を開発した。8mm角の小型姿勢センサ基板と手首部の通信基板からなるシステムによって、リアルタイムに姿勢情報をPCに蓄積できるようにした。計測開始時の手指の姿勢を固定する台を開発し、初期姿勢と終了姿勢が等しいという拘束条件を最も満たす最適姿勢列を計算することで、ドリフトの少ない姿勢推定技術と、手指の運動再構成技術を開発した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初計画書に記載の通り、本年度で計画した「触覚センサ」の開発および「姿勢センサ」の開発を完了し、同時計測が可能な段階に達したため。
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今後の研究の推進方策 |
男女を含む数名の被験者に対して、物体操作実験を行う。日常動作において道具を使用する動作(はさみ、ペンなど)、物体の把持(マグカップ、ペットボトル)、器用な動作(ぼたんの開け閉め)、一連の動作(片付け)などの動作において、人の手の接触情報と姿勢情報を同時に計測する。 計測した手の接触情報と姿勢情報を用いて、制御の不変性を統計処理によって計算し、人が接触情報をどのように運動時に使用しているかについて解析を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
被験者実験を行うための謝金として使用する。 実験結果を解析するための計算装置を購入する。 実験装置のメンテナンス費用として使用する。
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