本研究は,ユーザが対象を観察する視点位置を自由にコントロールできる自由視点カメラ技術の基礎の確立を目指すものである.ハードウェア技術からのアプローチとして,カメラを移動機構に搭載して位置を制御する方法があるが,それだけでは視点移動の自由度が極めて限定される.そこで本研究では,ソフトウェア側からのアプローチとして,多眼カメラ画像の補間に基づく自由視点映像技術を組み合わせることを提案する.
平成26年度には,平成24,25年度の研究を発展させ,ソフトウェアとハードウェアのより高度な融合に取り組んだ.移動機構の制御には,必然的に応答遅延や速度のゆらぎが発生するが,これらの要員がユーザの観察する自由視点映像に及ぼす影響を出来る限り抑制したい.そこで,ハードウェアの性能限界を考慮しつつ,円滑な視点移動を実現するための制御技術について詳細に検討した.結論として,理想的な多眼カメラの位置と現在の多眼カメラの位置との差分に基づいて移動速度を決定する,比例速度制御方式を用いることにした.さらに,多眼カメラを搭載するプラットフォームとして,水平ステージと回転ステージを組み合わせた装置を構築して実験を行い,提案手法の有効性を確かめた.
|