本研究は、対象物を問わない画一的な撮影防止技術の構築について、申請者が培ってきた潜像技術を拡張した撮影防止パターンの生成 技術によって確立を目指すものである。当該年度においては、平成24年度、平成25年度に得られた成果を拡張する形で研究を進め、平面実物体への撮影防止パターンの投影およびデジタルカメラを用いた復号における、秘匿性の向上および復号コントラストの向上を目指した。 【コントラストの高い復号結果を得るための潜在化手法の確立】申請者が提案している潜像技術「チェッカパターンキャリアスクリーン画像」では、デジタルカメラの液晶ファインダへ取得画像を表示する際に生じるモアレ縞を利用した復号を行っている。よりコントラストの高い良好な復号結果を得るためには、投影されるキャリアスクリーン画像は低解像度であることが望ましい。一方、低解像度でキャリアスクリーン画像を投影した場合、秘密画像のパターンのエッジ部分における情報の露見が問題となる。平成25年度に提案した誤差拡散法を利用した潜在化手法における秘匿性および復号コントラストの特性評価実験を行った。特性評価実験から誤差拡散法の特性により良好な復号結果が得られる潜在化パラメータの範囲を示した。 【今後の展望】近年、スマートフォンの急速な普及に伴い、コンパクトデジタルカメラはスマートフォンのカメラに取って代わりつつある。提案技術手法は撮影防止という枠組みを超えることで、新たなカメラ付き携帯情報端末への情報提示技術としての利用が期待できる。
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