研究課題/領域番号 |
24700165
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研究機関 | 名古屋工業大学 |
研究代表者 |
坂上 文彦 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (00432287)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 反射特性解析 / 形状計測 / 照度差ステレオ法 |
研究概要 |
本年度は,照明装置として使用するディスプレイ上に表示するパターンの検討を主として行った.本研究では,ディスプレイから照射された光による対象物体上の陰影や反射光を解析することにより,対象の形状情報および反射特性を取得する.このとき,ディスプレイ上に表示するパターンを工夫することにより,撮影時間の短縮や,形状の効果的な計測が実現可能であると考えられる.本年度は特に,反射特性取得のための検討を行い,その結果,離散コサイン変換基底をディスプレイ上に投影することにより,効率的な画像取得が’行えることを確認した.また,離散コサイン変換基底以外にもフーリエ変換基底,球面調和関数などを利用する方法についても検討した. また対象の形状計測については,ディスプレイ上の各点を近接点光源と見なし,近接光源下での照度差ステレオ法を適用する方法について検討を行った.その結果,光源モデルの線型近似を用いた線型近接光源照度差ステレオ法の結果を初期値とし,それを非線形最適化法を用いて最適化することで,ある程度の形状計測が行えることを確認した.この際,照度差ステレオ法では鏡面反射を取り扱うことができないため,ディスプレイ(照明装置)上の表示パターンを工夫することにより,鏡面反射成分を分離する方法を検討した.その結果,高周波パターンの位相を変化させながらディスプレイ上に表示し,その下で撮影を行うことにより,効果的に鏡面反射成分を分離可能であることを確認した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画に基づき,概ね順調に推移している.本年度は当初の計画どおり,ディスプレイに表示するパターンの検討を主として行い,反射特性計測に有用なパターンとして,離散コサイン変換基底を導出した.形状計測用のパターンとしては,照度差ステレオ法を適用するために,鏡面反射成分を分離するためのパターンを導出した.これにより,鏡面反射を含む物体についても照度差ステレオ法を適用することが可能となった.このような光源下で近接抗原照度差ステレオ法を適用する方法について検討を行い,ある程度有効な方法を発見することができた.
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今後の研究の推進方策 |
これまでは,反射特性解析のための方法,形状計測のための方法をそれぞれ独立に検討してきた.今後はこれら2つの方法を統合することにより反射特性および対象形状を同時に取得する方法を検討する.特に,これまでに検討してきた販社特性および形状取得のためのパターンの特性を併せ持つパターンを検討し,効果的な計測方法の実現を目指す.また,表示パターンだけでなく,スクリーンの形状についても併せて検討を行う. また,反射特性解析や形状取得のためには複数のカメラにより撮影された画像を利用することが有効である.これは,視点の変化により生じる対象物体の見えの変化は3次元形状および対象の反射特性に依存するためである.したがって,複数のカメラを利用すればより効率的にこれらの情報を取得可能であると考えられる.そこで,複数のカメラの利用方法についてもあわせて検討する.
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次年度の研究費の使用計画 |
研究をより効率的に実施するために,カメラおよび照明装置(ディスプレイ,プロジェクタ等)を追加で購入する予定である.カメラについては先に述べた複数カメラを利用した実験のために複数台購入予定である.照明装置については複数のディスプレイを用いた実験のためにディスプレイを購入予定である.また,平面だけでなく任意形状上にパターンを表示するために,プロジェクタを購入予定である.また,研究成果を発表するために,国内会議および国際会議に出席する予定である.
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