本年度は,ディスプレイ上に表示するパターンについて更に改良を行い,より効果的に対象の形状を計測する方法について検討した. 前年度の成果により,離散コサイン変換基底をディスプレイ上に表示することにより効率的に形状計測のための画像が取得可能であることを確認している.また,近接光源下における照度差ステレオ法を利用することにより,形状計測が可能であることを確認している.しかし,この照度差ステレオ法を利用するためには,物体表面からの反射光が拡散反射のみで構成される必要があり,鏡面反射を発生させるような滑らかな物体に対しては適用が難しいという問題があった. そのため,本年度ではディスプレイ上に特定のパターンを表示することで,鏡面反射成分を除去した画像取得を行う方法について検討した.その結果,より高周波なパターンをディスプレイ上に表示させ,その下で画像を取得することにより,効果的に鏡面反射成分を取り除くことが可能であることを確認した. さらに,この高周波パターンと離散コサイン変換パターンを組み合わせることにより,鏡面反射成分を除去しつつ,多数の画像を効率的に取得可能であることを確認した.以上の方法により,ディスプレイ上の表示パターンを変化させながら画像の撮影を行うことにより,様々な反射特性を持つ物体の形状を取得する方法を構成できた.
|