研究課題
当該年度は1.雑音や分離歪みを含む楽器音からの楽器音合成器のパラメータ推定と楽器音の再合成技術の改善、2.一般的なポピュラー音楽などの歌声と伴奏の両方を含む音楽音響信号からの歌声・伴奏音分離技術とその基本周波数推定技術の開発、およびその歌声編集への応用、3.音楽音響信号に対する和音と音高の反復推定技術の開発、4.無限次元の自己回帰過程のベイズ推定に基づく残響抑圧技術の開発、に取り組んだ。1.音源分離などに起因する雑音や歪みを含む楽器音に対して、それらを除去したクリーンな楽器音を得るための仮想楽器音源のパラメータを推定する。多数の楽器音をランダムに生成し、楽器音から音響特徴量とその統計量を計算する。重回帰分析を用いて音源パラメータと音源特徴量との関係を学習し、未知楽器音のパラメータをその関係を用いて推定する。2.歌声と伴奏を分離し、歌声にビブラートやこぶしなどの歌唱表現を付与する音楽編集システムを開発した。歌声分離は2つのステップからなる。第1ステップでは入力混合音を伴奏成分と歌声成分に粗く分離する。第2ステップでは分離された歌声からその音高を推定し、音高に基づく調波構造マスクにより歌声を際立たせる。本歌声分離手法は、音楽情報処理アルゴリズムの世界的なコンテストであるMIREX2014の歌声分離トラックにおいて最高性能を達成した。3.音響信号からその残響を取り除く手法を構築した。残響は音高推定や和音認識などの各種の音楽情報処理アルゴリズムの精度を大きく低下させるため、これらのアルゴリズムを頑健に動作させるための前処理として残響抑圧技術は有用である。4.音楽音響信号に対する和音推定と音高推定の精度を高めるため、これらを反復的に実行する手法を実現した。入力楽曲に対して音高を粗く推定し、推定された音高から和音認識の特徴量を計算する。そこから和音を認識し、その結果を事前分布として用いることで再度音高推定を行う。
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