研究課題
本研究では、原因不明で治療や診断方法が確立されていない難病である潰瘍性大腸炎の大腸内視鏡検査に対して、大腸粘膜の炎症の重症度を画像認識技術により定量化を行う新しい客観的な評価手法の確立を目的とした研究を行った。H24年度では、医学的な観点における潰瘍性大腸炎の炎症具合による大腸粘膜表面の様子(血管網パターンの有無や表面の凹凸など)の違いを区別するため、RGBやHSV色空間など様々な色成分に変換した内視鏡画像から、幾何学的な特徴を表す高次局所自己相関(HLAC)特徴を抽出し、予め医師により分類された重症度ごとに解析を行った。その結果、重症度に応じてその特徴を抽出しやすい色成分が異なり、その違いを利用することで分類が可能であることを明らかにした。(IPSJ第91回MPS研究会および第12回産総研・産技連LS-BT合同研究会発表会にて報告)H25年度では、明らかにした色成分との相関関係に基づいた重症度分類の基本技術を提案した。また、血管網パターンや表面の凹凸の違い等を強調する画像処理とHLAC特徴抽出に関する複数の異なる条件パラメータを一括して調整する最適化手法を提案し、GPU計算機による並列化も活用し実用的な時間での条件最適化に成功した。(産総研オープンラボ2013、IPSJ第96回MPS研究会およびIEEE ISBI2014にて報告)H26年度では、血管網パターンと表面の凹凸の違いを同時に強調する高度な画像処理手法と、その画像処理結果から抽出したHLAC特徴とヒストグラム特徴をベースとした客観的な評価に基づく類似症例画像の検索技術を提案した。そして、これら研究成果を基に、潰瘍性大腸炎の重症度分類と類似症例画像を客観的な評価軸に基づき医師に提示するシステムを試作した。(第14回産総研・産技連LS-BT合同研究会発表会およびSPIE MI2015にて報告)
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Proceedings of SPIE 9414, Medical Imaging 2015: Computer-Aided Diagnosis
巻: 9414 ページ: 9414E-1-9414E-9