研究課題/領域番号 |
24700190
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研究機関 | 中央大学 |
研究代表者 |
田村 雄介 中央大学, 理工学部, 助教 (40515798)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | ヒューマンロボットインタラクション / 注意誘導 / 視線計測 |
研究概要 |
本研究では、ロボットによる人間の注意誘導の実現を目指し、これに必要な人間の注意誘導動作のモデル化を目的としている。注意誘導のモデル化は、人間とロボットをはじめとした人工物のインタラクションの円滑化のみならず、サービス等の分野における顧客の注意・行動誘導にも重要な課題である。 本年度は、人間による巧みな注意誘導の典型例として、手品師による注意誘導動作の解析を行った。具体的には、手品動画を鑑賞している人の注視点を計測することによって、手品師の動作が鑑賞者の注意にどのような影響を与えているのかを調べた。実験では、フェイクトランスファーという手品の技法を題材とし、3つの手品動画(通常の動作、カメラ目線での動作、斜め上方を見ながらの動作)を鑑賞する際の実験参加者の注視点の位置を、非接触型の頭部・眼球運動計測装置によって計測した。 実験の結果、通常の動作を行う場合が、他の2つの場合に比べて鑑賞者の注意を手品師の意図通りに誘導できるということが確認された。すなわち、注意の誘導においては、手品師の視線のみではなく、視線と手の動作を適切に連動させることが重要であるということが示された。また、視線と手が注意誘導に寄与する割合は一定ではなく、状況に応じて変化する可能性が示唆された。これらの結果から、注意誘導に寄与している基本要素としての身体動作を抽出した。 また、これらの解析と並行して、ロボットに注意誘導動作を実現させるため、小型のヒューマノイドロボットを購入し、注意誘導の基本要素となる動作を実装しているところである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
手品鑑賞者の注視点計測・解析に予想以上に時間がかかり、手品師の動作計測を行うことができなかったため。 また、注視点の計測精度があまり高くないため、手品師側(ロボット)の動作パラメータを多少変化させても注意誘導の変化が結果に表れず、方針を転換するなど実験方法の確定に時間がかかったため。
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今後の研究の推進方策 |
手品師の動作を計測・解析するとともに、解析結果を基にして注意誘導動作のモデル化を行い、小型ヒューマノイドロボットに実装する。 解析の結果およびモデルを実装したロボットによる実験の結果については、随時学会発表および論文投稿を行う予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
主に、手品師の動作計測に用いるコンピュータの購入、および研究成果の発表のための学会旅費・参加費等に使用する予定である。
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