研究課題
家庭内において,高齢者の生命に関わる重大な事故が発生する場所として,最も多く挙げられるのがトイレや浴室である。しかし,そのような場所ではプライバシーの観点からカメラを設置することができない。そこで本研究では,ロッドレンズとラインセンサを用いたプライバシーを侵害しない人物状態検知センサ(以下,輝度分布センサ)を開発し,人物の位置及び状態を監視可能なセンサシステムを提案している。これまでの研究において,1次元輝度分布のデータから,監視対象と背景の差分を計算し,そのピークや重心の位置を求めることで,人物の移動や転倒・直立状態を検出できることが確認できている。しかし,このセンサシステムに関する知識がない場合,輝度分布から人物の状態を把握するのは難しい。また,高齢者等の被監視者が助けを呼ぶために手を振る,転倒はしていないがうずくまっているといった場合には,人物の状態を的確に検知することは難しい。そこで,人物状態を直感的に把握するための監視システム及び,複数の人物の位置や移動が把握可能なアルゴリズムの開発を行った。具体的な手法としては,輝度分布センサを複数個組み合わせて得られる1次元輝度分布から画像を再構成し,監視者が人物状態の再構成画像をモニタで目視できるようなシステムの開発を行った。また,本センサシステムの汎用性を高めるため,多様な使用環境下に対応した試作機の設計を行った。例えば,輝度分布センサを壁に取り付ける場合は部屋の奥行きや形状,天井に付ける場合は床までの距離などの環境に合わせて,最適なレンズの形状とラインセンサのサイズの設計を行った。これらの成果を元に,身障者用トイレや個室型老人ホームを模擬した環境において人物検知に関するフィールド試験を行い,輝度分布センサシステムの有用性を確認した。
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