繊細な手指の機能は複雑な筋腱ネットワークから生み出される.この複雑な腱構造の相互作用に着目し,手内筋の張力が外在伸筋腱の走行や手指の関節運動に与える影響を明らかにするために,筋腱骨格モデルを用いた動力学シミュレーションと,屍体標本に対する筋骨格運動計測を実施した.このシミュレーションと計測の結果,手内在筋の張力が大きくなるほど中手指節関節に比べて指節間関節の屈曲が遅くなり,このため指尖部がより大きなアーチ軌道を描くことが分かった. コンピュータを用いた筋骨格運動シミュレーションにおいては,このような筋腱ネットワークを再現する必要があることが示唆された.
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