研究課題
省エネルギー社会での生活の快適性向上と,高精度な触感ディスプレイの実現のためには,要求された触感を正確に再現する材料,すなわち「触感重視型材料」の設計が求められている。本研究ではこの「触感重視型材料」の設計手法を確立することを目的とした。対象としては,「しっとり感」,「なめらかさ」,「清涼感」,「しなやかさ」など日常生活で人が触れる機会の多い素材に求められる触感に着目した。これらの項目は,特に材料中の水の挙動と密接に関わっていると考えられるため,水の束縛状態およびそれに関連した微構造に着目して,特定の触感を引き起こす微構造の特徴を解明し,目的とする触感を正確に再現する材料の設計を行った。その結果,特に皮膚に塗布して用いる不定形の製剤においては,皮膚の製剤によるぬれ性が触感に大きな影響を及ぼしていることが明らかになった。また製剤の皮膚表面におけるレオロジー特性も,皮膚に対するぬれ性により変化することが分かり,皮膚の界面化学的性質が触感に及ぼす影響が明らかになった。これらの結果を踏まえ,官能評価と物性計測,および成分比率を対象として主成分分析や重回帰分析を行うことで,目的とする触感を持つ塗布製材の設計を行う手法を検討した。本手法によって算出された処方により塗布製材の調製を行い,官能評価を行って官能値の目標値と実測値を比較したところ,設計手法の妥当性が示された。また「しっとり感」と「べたつき」のように,統計学的には類似した性質を持にもかかわらず,前者は快,後者は不快をそれぞれ示すような官能評価項目について,物理的な現象の違いを検討し,それぞれの官能値と高い相関を持つ物理量を明らかにした。
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C&I Commun コロイドおよび界面化学部会ニュースレター
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