近年、耳鳴に対する脳の順応を獲得しようとする耳鳴再訓練療法(Tinnitus Retraining Therapy)が注目されている。これは、通常は意識しないような音を耳鳴に重畳することで、患者の苦痛を軽減させることを目的としたものであり、現在、治療方法の体系化が進められている。耳鳴再訓練療法のための音響刺激として、白色雑音、ピンク雑音、音声雑音などが用いられているが、その具備すべき条件について、周波数スペクトルや音圧レベルといった物理的音響特性との関連性に踏み込んだ検討はなされていない。このような観点から本研究では、耳鳴再訓練療法のための音響刺激について検討している。
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