研究概要 |
脳活動に含まれる個人差を考慮した、人間の嗜好・意思決定過程に関する情報を脳波により抽出するために、心理学的個人差を導入した脳波パターンの分類手法を研究した。申請者はこれまでに、脳波の個人差は心理学的個人差(パーソナリティ)の影響を受けるという仮説の証明を試みてきた。また、単一探査電極を対象に脳波を分析してきた。しかしながら、一般的なノイズ除去手法の適用困難さ、およびパーソナリティ分析の不十分さ、が脳波分析精度の低迷する結果であった。 仮説に基づくモデルとして、自己組織化マップ(SOM)を改良した。このとき、類似したパーソナリティを持つ被験者のデータが近隣に分布するように設計した。BCI構築に向けての十分な分類・識別結果を得るまでには至らなかった。これは、脳波計測の部位が左額の一箇所であるため十分な脳活動の情報を獲得することが出来ていないこと、心理学的個人差の定量化のために一種類の心理テストのみを用いていること、などが原因として推測された。 そこで多チャンネル脳波計測装置による計測、多種の心理テストによる心理学的個人差の定量評価、ならびに、実験的検証による考案手法の有効性の検証を実施している。ここでは、聴取音楽に対する嗜好の有無および歩行動作に関する意思、を脳波で検出する実験を設計した。 全体として、申請時に挙げた研究課題に対する実験的検証の多くは実施された。研究発表として、その研究成果がInternational Journal of Bioscience, Biochemistry and Bioinformationに掲載され,International Journal of Advances in PsychologyおよびThe Online Journal of Computer Science and Information Technologyに採録されている。
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