研究課題/領域番号 |
24700211
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 茨城県立医療大学 |
研究代表者 |
川野 道宏 茨城県立医療大学, 保健医療学部, 准教授 (00404905)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 無 |
研究概要 |
本研究では,臨床における励ましの声掛けが,リハビリテーションを受ける患者の訓練効果にどのような影響を与えるのかを知るための前段階として,健常成人を対象に課題運動実施に対するポジティブフィードバックの有無が運動や意欲を司る脳領域の賦活に与える影響,および実際の運動パフォーマンスに及ぼす影響を検討した.有意差は認められないものの,高評価音を受けた群のほうが無評価音を受けた群よりも,タッピング運動実施回数増加に伴うMP関節屈曲度の平均値の低下が少ないことが示された.先行研究において,被験者が「評価者から褒められる」経験を運動トレーニング後に得ることで,運動技能の習得がより高まることが示されているが,今回の実験においても,高評価音を受けた群は設定したタッピング運動の基準に近いパフォーマンスを示しており,無評価音を受けた群よりも運動を「より上手」にできている可能性が示唆された.また,高評価音・無評価音を受けた群とも,タッピング運動の実施により運動関連脳領域の賦活が示され,さらに高評価音を受けた群では前頭前野,扁桃体,眼窩前頭野において新たな賦活が認められた.前頭前野は随意運動や理性的判断等,扁桃体は情動に関連した評価・反応・記憶等に関係し,また両部位は意欲とも関係があることが示唆されている.また,眼窩前頭野は情動や記憶・感覚統合,正の情動発現に基づいた意思決定に関連することが知られている.自分への高評価は社会的報酬としてこれら脳内報酬系・情動系に作用することが示されており,本実験でも同様の系が賦活され,さらなる報酬を効率的に得ようとし情動発現に基づいた意思決定や理性的判断の関連部位が働いた可能性が示唆された.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
昨年6月より,茨城県専任教員養成講習会の企画・運営という新たな業務を任されることとなった.本大学初の事業ということで準備に多大の時間が割かれることとなり,科研へのエフォート率が下がってしまったことが理由である.
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今後の研究の推進方策 |
当初予定していた研究にかかるエフォート率の低下を,協力者に実験補助等の協力をお願いする形で補う.研究の計画とまとめ,全体の統括は研究者本人が行い,実験の準備・実施・解析の補助を協力の同意が得られた協力者にお願いする形で進めてく.
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次年度の研究費の使用計画 |
24年度に当初購入予定であった実験機器は,調整により他の研究室から無償で借りられることになったため購入を見合わせた.その分の費用の一部を,実験補助者への謝金として割り当て,実験準備・実施・解析のサポートを行ってもらう.25年度は予定どおり生理計測機器の導入も進め多角的なデータの収集を行ってく予定である。
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