研究課題/領域番号 |
24700213
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研究機関 | 芝浦工業大学 |
研究代表者 |
齋藤 大輔 芝浦工業大学, システム工学部, 准教授 (00366402)
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キーワード | 視認性評価 / 色覚モデル / 眼球停留関連電位 / 視覚特性 / 高齢者 / 色覚障碍者 / P300 |
研究概要 |
輝度コントラストにおける視認性を注視点移動を用いて注視時間およびサッカードにより評価したところ,知覚認知過程に影響を及ぼしている可能性が示された.そこで,平成25年度は知覚認知段階で輝度コントラストおよび色相に及ぼす影響を脳波計測により評価を行った. まず,脳波計測時にノイズとなる無線LANや蛍光灯や機器の電源ノイズを除去するために,簡易シールドルームを作成した.この簡易シールドルームは,5GHz帯の無線LANを考慮し,市販されている5メッシュ/インチの銅網を用いて開口面以外を覆ったものである.このシールドにより理論上は48.4GHzの電磁波を遮断でき,無線LANにおいては基本波を含む9次高調波まで遮断可能である. 作成した簡易シールドルームを用いて,何かを認知した際に発生する脳波であるP300をオドボール課題を用いて評価した.実験タスクは,輝度コントラストが異なる無彩色を組み合わせたものと,等輝度で色相の異なる文字色と白色背景を組み合わせた物を用いた.本実験では,トリガを眼球停止時とし,トリガから-100ms~500msの脳波を加算し,P300を検出し,潜時の長さから認知に要した時間を検討した. その結果,文字色と背景色の輝度コントラストが小さくなることでP300の潜時が長くなることが示され,これまでに得ている注視点移動による結果の裏付けが行えた.また,等輝度における色相が視認性に及ぼす影響として,目の感度の高い可視光の中波長域である緑,黄色および補色主波長が中波長域となるマゼンタの視認性が高くなることが示された.以上の結果より,視認正に最も関与が強いのは輝度であり,コントラストが高い配色を用いることが最も有効であるが,等輝度の場合には可視光の中波長域となる色を用いることが有効であることが示された.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成24年度より研究活動に遅れが生じており,その遅れが影響し平成25年度においても遅れが生じた.今年度においては一定の研究成果を挙げられたが,当初の目標からはまだ遅れている.今年度は最終年度であることから,実験を早急に行い,最終目標である色覚モデルの構築を行う.
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今後の研究の推進方策 |
実験環境の整備および実際の計測が行える環境が整い,実際に計測を行うことが可能となった.平成26年度は,眼球停留関連電位計測を行い,眼球の動きと知覚認知活動の関連を明確にし,色覚モデル構築を行う.さらに,高齢者や色覚障碍者においても対応可能な色覚モデルを検討する. これまで得ている結果をもとに,主観評価と定量評価を加味した色覚のバリアフリーモデルの構築を行う. また,現在色彩輝度計は他機関より借りることで対応できているが,色彩照度計(コニカミノルタ CL-200A:35万円程度)が不足しており,購入を検討している.
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次年度の研究費の使用計画 |
平成25年度は,計画の遅れがあったことと,謝金を使用する必要が無かったために,次年度使用額が生じた. 現在,色彩照度計が不足しているため,購入を検討している.購入予想金額はおおよそ35万円程度かかる予定である.不足分を平成26年度の予算を用いて購入を検討している.
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