研究課題
これまで,心理学的評価および生理学的評価により視認性評価を行ってきた.心理学的手法による評価においては、若年健常者,高齢者および色覚障碍者においての視認特性評価し,視認性の予測手法を検討しモデル化を試みてきた.さらに,生理学的な特性を考慮しモデルに加味することでより生体特性を考慮した色覚モデルが構築できると考えている.そこで,生理学的評価を用いて視認性評価を行っている.これまでに,視線移動による評価および眼球の停留をトリガとした脳波計測(P300計測)により行ってきた.昨年までの検討では,輝度コントラストに関する検討は行ってきたが,色覚のバリアフリーモデルを構築する場合には,有彩色に拡張する必要がある.そこで今年度は,有彩色の視認性評価を心理学的評価および生理学的評価を用いて検討した.本手法では,心理学的評価としてME法を用い,生理学的評価では眼球停留の開始を眼電位により判断し,眼球停留時に発生する眼電位をトリガとし,トリガから-100ms~500msの脳波を加算平均しP300を検出し,P300の潜時により知覚認知を判断し,呈示された情報の視認性を判断した.特に,Webチラシに着目し,Webチラシに用いられる配色を用いて検討した.その結果,心理学的評価においては明度差および色差が大きくなると視認性が高くなることが示され,従来と同様の結果であった.また,生理学的評価においては赤および緑を用いた配色の知覚認知が速くなり,青を用いた配色の知覚認知が遅くなった.この要因として,網膜上の中心窩と呼ばれる高精細な中心視野での視覚に寄与している部分にL錐体とM錐体のみ存在し,S錐体は存在していないことが考えられる.心理学的評価と生理学的評価を統合的に考えると,結果が一致しなかった.このことから,より詳細に検討する必要が生じた.
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バイオメディカル・ファジィ・システム学会誌
巻: Vol. 17, No.1 ページ: 印刷中
巻: Vol. 16, No. 1 ページ: 91-96