本研究の目的は、機械の中に気の利いた秘書が居るかの如くユーザの状況に対応した適応的サポートを提供するWebプラットフォームの開発である。これは、機械が人間の状況を認識する状況推定、ユーザの状況やリクエストまたは実社会からのイベントに基づいて情報を収集する情報検索、状況に対応してユーザにサービスを提供する作業支援、これらを用いた応用システムから成る。 これまで、状況推定については、文脈ベースサービスモデルの標準化に向けて、文脈ベース推論CxBRと世界標準の形式自然言語SBVRとの融合方式の提案・評価を行った。また、文脈と形式自然言語のハイブリッド推論による文脈ベース推論の高度化を行った。また、開世界仮説、様相論理、信用度評価モデルの組込みにより、状況適応機能の強化を行い、ルールモダリティ(様相論理)や開世界仮説/閉世界仮説(CW/OW)での推論を文脈や状況に依存して選択可能とする手法を提案した。また、ユーザの行動履歴データからユーザプロファイルを構築する手法について提案し、その実験システムを構築し、有用性を検証した。 情報検索については、テキストと画像を融合したクエリーによる質問応答システムの研究を進め、情報提供者とユーザ要求とのマッチングを行うシステムを提案した。また、画像検索技術の改善のため、ハフマンテーブルを用いて画像検索を高速化する手法を提案・評価した。 応用としては、情報提供者とのユーザクエリーマッチングシステムとして、災害時における情報提供システムを提案した。また、ユーザーサポートシステムとして、ユーザの学習履歴やプロファイルに基づいてデータマイニングにより大学カリキュラムの作成支援を行うシステムの研究を行った。また、実社会からのイベントに基づいた対応サービスの基礎技術として、ツイッターの分析エンジンを開発した。 これらの研究成果をそれぞれ国際会議論文において発表した。
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