研究課題/領域番号 |
24700215
|
研究機関 | 同志社大学 |
研究代表者 |
土屋 誠司 同志社大学, 理工学部, 准教授 (70452654)
|
キーワード | 脳波 / 雑音 / 概念化 |
研究概要 |
本研究では,測定した脳波には雑音が混入することを前提とし,雑音を除去するのではなく,有効な脳波データを抽出・利用できる仕組みを提案し,脳波に基づくユーザの感情推定システムに利用することで提案する雑音に頑健な脳波解析手法の有効性を検証することを目的としている. 本年度は,研究の2年目として,昨年度に実施予定であった実際の脳波概念ベースで必要となる脳波データの測定実験を行った.脳波概念ベースの構築には,様々な感情状態下における大量の脳波データが必要になる.そのため,脳波測定装置(EEG)を装着しながら映画を視聴すると共に,各シーンで抱いた感情を記録する被験者実験を行った.映画を利用することにより,自然で多様な状態下での脳波の取得が可能となり,また,被験者への心身的負担の軽減にもつながった. また,昨年度に作成した脳波の概念化アルゴリズムを用いて,脳波概念ベースを構築した.言語における概念ベースと同様に,脳波概念ベースにおいてもTf・Idfなどの技術により重み付けを行い,雑音の影響を排除した.しかし,これらの重み付けだけでは雑音の影響を完全に排除することは難しく,一度構築した概念ベースを再度精錬する必要がある.特に,国語辞書というある程度の品質が確保されたデータにより構築する言語の概念ベースに比べ,個人の影響を大きく受ける脳波データを基に構築する脳波概念ベースにおいては,この精錬作業は非常に重要な作業になる.この作業に関しては,次年度も継続して行う必要があると考えている. さらに,言語における概念ベースを利用した単語間の関連性を数値として算出するアルゴリズムを応用し,脳波概念ベースを利用した脳波間の関連性算出プログラムを作成した. なお,本研究に関する成果として,投稿論文5件,国際発表5件,国内発表14件,著書1件を行った.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
脳波概念ベースの精錬作業に関しては,次年度以降も継続して行う必要があるが,本年度に予定していた脳波データの取得ならびにそれらのデータを用いた脳波概念ベースの構築,脳波間の関連性を算出するプログラムの作成を滞りなく実施することができた. また,研究成果も発表することができ,ほぼ満足できる成果であったと感じている.
|
今後の研究の推進方策 |
本年度に構築した脳波概念ベースならびに脳波間の関連性算出プログラムを利用した感情推定アルゴリズムを構築する.言語からの感情推定アルゴリズムはこれまでの研究で成果を挙げており,また,平成21~23年度に採択していただいた科研費若手Bにおいては,脳波に関する研究を行っており,ベースとなるアルゴリズムは確立している.本研究では,これらをベースに脳波に基づく感情推定を実現する.
|
次年度の研究費の使用計画 |
初年度に予定していた脳波測定実験が本年度に延期になった影響で,予定していた対外発表も延期したため. 延期になっている対外発表を着実に実現することで,旅費として使用する予定である.
|