研究課題/領域番号 |
24700217
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 独立行政法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
三輪 洋靖 独立行政法人産業技術総合研究所, デジタルヒューマン工学研究センター, 主任研究員 (30367073)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 感性計測評価 / 嚥下 / 嚥下音 / 筋電 / モデル化 / 嚥下感覚 / 喉ごし |
研究概要 |
平成24年度は、食品や飲料物の特性を変更しながら嚥下における筋活動および嚥下音の計測を行い、嚥下時の口腔、咽頭の筋活動のモデル化や嚥下と筋活動、嚥下音と関係のモデル化を目指した。特に、以下の3点に重点を置いて研究を進めた。 (1)嚥下における筋電・嚥下音の計測:合計で25名の被験者に対し、嚥下における筋電、嚥下音の同時計測実験を実施した。実験試料として、炭酸強度の異なる2種類の炭酸水と水を被験者に摂取してもらった。このときの舌骨上筋群、舌骨下筋群および咬筋の筋電と甲状軟骨の側部の嚥下音を同時計測した。嚥下音の計測には研究代表者らが開発した体内音センサを嚥下音計測用に改良して用いた。得られた嚥下音にはWavelet変換による時間・周波数解析を適用し、特徴量としてハイパワーを持つ部分を抽出した。一方、筋電には絶対値化,ローパスフィルタを適用し、活動時間等の筋活動に関する特徴量を抽出した。また、これらを半自動的に処理するソフトウェアを構築した。 (2)嚥下における筋活動のモデル化:解剖学や既存の嚥下における筋活動に関する既存研究に基づき、オトガイ舌骨筋、甲状舌骨筋、胸骨舌骨筋、胸骨甲状筋、舌骨、甲状軟骨から構成され、嚥下における各筋肉の動きを記した嚥下モデルを構築した。 (3)筋活動に対応した嚥下音のモデル化:(1)の計測によって得られた筋電および嚥下音について(2)で構築したモデルを考慮しながら統計的手法で分析した。その結果、嚥下における筋活動として舌骨上筋群、舌骨下筋群および嚥下音の活動順序とその時間差が得られた。また、炭酸強度によって嚥下活動が確認された時間が統計的に有意に異なることが確認された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成24年度の計画では、嚥下における筋電・嚥下音の計測、嚥下における筋活動のモデル化、筋活動に対応した嚥下音のモデル化の3つの課題について重点的に取り組む計画であった。この計画に対し、それぞれの項目について計画とほぼ同程度の進捗と成果を得ることできた。以上より、「おおむね順調に進展している」と判断した。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度は、嚥下モデルを用いた嚥下と主観的評価である喉ごしの関係の解明を目指し、(1)嚥下方法の推定方法の構築、(2)嚥下における主観的評価である喉ごしと嚥下方法の関係の解明に重点を置いて研究を遂行する。最終年度にあたる平成26年度は得られた成果をを統合し、(3)嚥下音による喉ごし評価システムを開発する。また、嚥下における筋活動・嚥下音の計測については継続的に実施し、計測ノウハウと知見の蓄積を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
本研究で実施する嚥下時の筋活動・嚥下音計測実験では筋電計測・嚥下音計測システムおよび解析ソフトウェアが必須となる。平成25年度は筋電および嚥下音の分析に使用する数値解析ソフトウェアMATLABの年間ライセンス、体内音センサの改良・保守に必要な部材、計測に必要なディスポーザル表面電極、実験試料、実験用容器等、データ保存用のHDD等の消耗品、文献資料の購入・調査費用および実験協力者への謝金に使用する。さらに、成果発表として国内外での学会発表、研究調査のための旅費として使用する予定である。
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