研究課題/領域番号 |
24700220
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
安田 宗樹 東北大学, 情報科学研究科, 助教 (20532774)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | ソーシャルネットワーク / 統計的機械学習理論 / 確率的情報処理 / 道路交通ネットワーク 「国際情報交換:フランス」 / 解析・評価 / アルゴリズム |
研究概要 |
通信インフラの爆発的普及や交通網の整備に伴い,ソーシャルネットワークとよばれる社会的なネットワーク構造を中心とした考え方が重要になってきている.当該研究課題は,ソーシャルネットワークとベイジアンネットワークに代表される確率ネットワークモデルを組み合わせ,ソーシャルネットワーク上での確率的推定・確率的データマイニング・機械学習などの確率的情報処理理論の体系を確立することを目的とし,情報科学・統計学・情報統計力学などが融合した複合領域におけるこれまでの有用な研究成果をソーシャルネットワーク分野へと転用することで,ソーシャルネットワーク分野における新たな視点と手法を確立する. 当該年度における主要な成果は以下の2点となる. 1.複雑なネットワーク構造とランダムネスをもった確率モデル上でのビリーフプロパゲーションに基づく高性能近似計算アルゴリズムの開発,2.道路交通ネットワークに対する確率モデルの構築と解析である.1.は当該研究課題の今後に対する基礎理論となる重要なもので,複雑な構造を持ったソーシャルネットワーク上の確率的情報処理に対する強力な武器となる.この成果はアメリカの学術論文雑誌「Physical Review E」にて出版されている.2.は当該研究課題の一つの具体的なアプリケーションであり,仙台市の実際の道路交通ネットワークに対する確率モデル構築・統計的機械学習理論の定式化・統計的近似計算理論の適用を行ない,交通のナウ・キャスト推定システム(現在の交通量を推定するシステム)の設計に成功した.こちらの成果に関しては日本物理学会にて発表をしており,現在学術論文執筆に向けて成果をまとめている(平成25年度に投稿予定).
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
【研究実績の概要】の項でも説明した通り,当該年度は確率的ソーシャルネットワークシステム上の統計的近似計算理論を構築に成功し,道路交通ネットワークに対する確率的ソーシャルネットワークモデルの構築にも成功した. これらの成果から当該年度の成果は交付申請時の研究実施計画を十分に達成しているものと判断される.
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究方針としては以下のように計画している.まず交付申請時の研究実施計画に則り,確率的ソーシャルネットワークモデルに対する統計的大規模システム解析によるシステムの定性的・定量的評価解析の手法開発に着手し,実際の確率的ソーシャルネットワークモデル(例えば既に定式化している交通ネットワークモデル)に適用してその統計的な性能を調べることが一つの研究推進の柱である. またそれとは別に,本年度に開発した新しい近似計算アルゴリズムの理論の深化と統計的機械学習理論への転用も重要な柱の一つとして見据える.このアルゴリズムはまだある程度限定された範囲でしか使用することができないため,開発手法の一般化が今後の推進においては必要不可欠になるためである.
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次年度の研究費の使用計画 |
購入を予定していた大規模数値シミュレーション用計算機の納期が平成24年度内に間に合わず研究費に未使用額が生じたが、平成25年度に当該計算機を購入し,平成25年度行う予定の研究計画と併せて実施する。研究計画に変更はなく、前年度の研究費も含め、当初予定通りの計画を進めていく。
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