研究課題/領域番号 |
24700226
|
研究機関 | 香川大学 |
研究代表者 |
松下 春奈 香川大学, 工学部, 助教 (00604539)
|
キーワード | 群知能 / 粒子群最適化法 / 非線形最適化問題 |
研究概要 |
問題に応じて結合関係を自動的に変化させるPSOの提案 最適化問題に応じて結合度が最適な値に自動決定されるPSOを提案した。当初は、局所解に陥っているかどうかを判定することで、結合度の増減を行う予定であった。つまり、最適解の更新がないと、局所解に陥ったと判断し、結合度を弱めることで群の多様性を促すことを期待していた。しかしながら、結合度を時間変化する線形関数にすることで、追加のパラメータを必要とすることなく、柔軟なPSOの構造変化を達成した。 提案手法を様々なベンチマーク最適化関数に適用することで、従来型PSOよりも有効な最適化結果を得られることを確認した。これは、提案手法の柔軟な構造変化により、局所解に陥りにくく、また、局所解からの容易な脱出の効果を得られた。つまり、当初よりもよりシンプルであるにも関わらず、効果的かつ有効なアルゴリズムの提案となった。 また、この柔軟な構造変化の効果を、群知能アルゴリズムの一種であるホタルアルゴリズムにも適用した。ホタルアルゴリズムは、PSOよりも少ない繰り返し回数で、より有効な最適化結果を得られることが知られている。この改善型ホタルアルゴリズムを用いることで、従来のPSOの最適化性能を大幅に向上させることに成功した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度は、1件の査読付き国際会議での発表、及び、6件の査読なし国内研究会での発表を行った。当初の予定は達成しているが、次年度につなげるための研究が少々遅れ気味である。これは、研究代表者の妊娠により、採択された国際会議への参加が困難になったことに加え、産前産後休業、及び、育児休業により、9月から研究が中断していることに起因している。
|
今後の研究の推進方策 |
提案PSOを用いて、系の最適パラメータを探索することで、分岐点を見つけ出す。解析対象には、太陽電池をモデル化した電気回路を用いる。まず、日射強度が変化しない太陽電池回路に対して、提案PSOを用いたパラメータ設定を適用する。スイッチ力学系を用いた太陽電池回路の安定周期解は、周期倍分岐を経て不安定周期解へ変化する。また、この不安定周期解の時のパラメータは、システムの最大電力を引き出すことが知られている。この、周期倍分岐と最大電力を与えるパラメータを導く2つの式を、多目的最適化の目的関数とし、提案PSOでのパラメータ最適化を試みる。応募者は以前の研究において、従来型PSOを用いた同回路のパラメータ設定を行っており、成功を収めていることから、この経験を十分に生かせるものと考える。しかしながら、従来型PSOでは、局所解から抜け出すことができないため、成功率が低い。提案PSOを用いることで、更に精度の高い結果が得られると考える。しかし、多数のパラメータに対する分岐解析は複雑なため、まずは最適化するパラメータを少なく設定し、徐々に増やしていくことで、最適化の難易度をあげる。こうすることで、詳細な調査結果が得られる。提案PSOの検討、修正を繰り返すことを予定している。 また、闇雲にパラメータ探索を行っただけでは、広大な解空間において、目的の分岐点が探索できない可能性がある。しかし、本テーマにおいては、当モデル回路の発案者である法政大学・斎藤利通氏に協力を仰ぐ予定である。氏はスイッチ力学系の権威であることから、提案PSOを用いることで理論的矛盾が発生した場合でも、それを無視すること無く、解決法を見出せると考えている。
|
次年度の研究費の使用計画 |
妊娠、出産による研究中断のため。 研究期間を1年延長予定。
|