研究課題/領域番号 |
24700227
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研究機関 | 兵庫県立大学 |
研究代表者 |
礒川 悌次郎 兵庫県立大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (70336832)
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キーワード | ニューラルネットワーク / 複素ニューラルネットワーク / 四元数 / 連想記憶 / 局所解析性 / 活性化関数 |
研究概要 |
平成25年度においては,局所解析性を導入した四元数階層型ニューラルネットワークについての工学応用を中心として研究を展開した.まず,3次元データ・信号の学習および予測における性能評価を行うために,線形回帰予測問題,カオス系列の一つであるローレンツ・アトラクタの予測問題,カラー画像の圧縮・復元問題を用い,四元数ニューラルネットワークの性能評価を行い,効率的に学習を行えることを示した.この結果については,国際会議IJCNN2013にて発表を行った.また,画像処理応用として,撮像した風景動画像の中から歩行者を計数するシステムを提案し,人物を含む矩形画像から人物の数を予測する方法として四元数ニューラルネットワークを採用した.このシステムにおいては,実際の風景の撮像動画像を用いて評価を行い,良好に人物計数が可能であることを示した.この結果については,国際会議ISIS2013にて発表を行った. また,四元数を導入したニューラルネットワークに基づく連想記憶システムにおいては,これまでの研究結果を総括し,その内容を複素ニューラルネットワークに関する書籍の一章としてまとめた. 関連研究として,複素ニューラルネットワークに基づく連想記憶システムである複素シナジェティックコンピュータモデルについて標準画像データを用いて性能評価を行った(SICE2013にて発表を行った).また,複素階層型ニューラルネットワークにおける性能向上の一手法として確率共鳴現象に基づくダイナミクスを導入したモデルを提案し,その性能評価を行った.これらのモデルについても,現在四元数化を検討している段階である.さらに,量子力学に基づく最適化手法であるQPSOモデルについても検討を行っており,四元数による効率的なアルゴリズム記述について検討している.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
四元数ニューラルネットワークの工学応用について,様々な問題に適用しその性能評価を行うことができた.局所解析性を導入した活性化関数を持つ四元数ニューラルネットワークの学習アルゴリズムについては,その適用可能性についてさらに検討をすすめる必要がある. 四元数に基づく連想記憶システムについては,射影学習則を用い,カラー画像が記銘可能であることを確認した.この研究成果の報告は平成26年度以降に行う予定である.
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今後の研究の推進方策 |
四元数階層型ニューラルネットワークモデルについては,(a)人物計数システムについて学術論文に結果をまとめ報告すること,(b)局所解析性に基づく活性化関数について解析を行うこと,が必要であり,これらを目標として研究を展開する. 四元数ホップフィールド型ニューラルネットワークに基づく連想記憶システムにおいては,(a)射影学習則・局所逐次学習則によるパターン記銘性能の定量的評価を行うこと,ならびに(b)パターンのランダム化に基づくより計算量が小さい非直交パターンの記銘方法の確立,の二つについて研究を展開する予定である.
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