平成26年度においては,四元数を用いた相互結合型ニューラルネットワークを用いた連想記憶システムについてのモデル提案・性能評価を中心として研究を展開した. モデル提案については,記銘パターンに対してランダムパターンを重畳することにより,記銘パターンの擬似直交を行う先行研究について,ニューラルネットワークモデルの複素数値化・四元数化を提案し,それらの性能評価を行った.その結果として,ネットワークを構成するニューロン数と埋め込み可能なパターン数から計算できる負荷率および雑音を含む入力からの想起割合の観点から,提案ネットワークは実数型のネットワークよりも良好な性能を示していることが分かった.この結果については,国際会議ICONIP2014において発表を行い,現在論文化に向けてさらなる性能評価を行っている段階である. また,四元数ニューラルネットワークの性能評価に関しては,以前に本研究申請者らが提案した3次元パターンを埋め込むことが可能な四元数連想記憶システムについてRGBカラー画像パターンの記銘・想起を行うことによる性能評価を行った.記銘性能の評価においては記銘手法として四元数に拡張したヘブ学習則ならびに射影学習則を用いた.計算機実験の結果より,両学習則によるパターン記銘は正しく動作することを確認できており,また射影学習を行うことにより非直交パターンが正常に記銘できることを確認した.また,パターンの各成分の階調度の設定とその想起能力の関係についても精査することができた.本結果については,国際会議AROB2015において発表を行った.また,これらの成果については現在論文投稿を行っている段階である.
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