研究課題
ファジィ推論に用いられるメンバシップ関数のうち,周期関数型のメンバシップ関数について極座標表示を行った。現在のところ,実際には円座標変換で十分な結果を得られると考えられる。メンバシップ関数の変数を偏角,それに対するファジィ値を動径に変換することによって周期関数が定められた同一の座標系(区間)に一意に定義することができた。これにより,例えば三角型のメンバシップ関数であるならばしずく型に変換されるように,周期関数は閉じた平面図形に変換される。この図形からある偏角を定め,その値を与える周期関数の台集合の値を重心とした。この一連の計算過程を周期型のメンバシップ関数の重心計算法とした。極座標における偏角の算出方法は,極座標変換で得られた図形の面積を1対1に分ける中心からの直線の角度とした。しかしながらこの方法には今後さまざまな課題や不都合が生じると予想できるので精査すべきであると考える。現在,これらは釣鐘型,三角型,台形型などの具体的な形をした関数について数値例を与えて手法の実現性,有用性を実験的に確認している。また,平行して任意の形をした周期型メンバシップ関数に対して実験が行えるようにシミュレーションの実装を試みている。本手法の適用例としていかなるものがあるかについては,様々な分野,例えば経営科学,会計学,OR,色彩デザイン等の研究者や企業のエンジニア等と意見交換を行い,もっとも効果的な応用の手段を模索中である。
3: やや遅れている
以下の要因が挙げられる。周期関数型のメンバシップ関数を極座標変換した後の閉じた図形の面積を算出する方法に関して,釣鐘型,三角型,台形型の関数のように形の定まった個々のケースに関しては比較的容易に求めることが可能であるが,一般的の関数については計算アルゴリズムが確定できていない。よって線形近似することで近似値を代用せざるを得ない状況である。これが次の段階である非ファジィ化計算の連続性の証明などに進めない要因となっている。他には周期関数の定義域の設定について,明快な結論が導き出せていない。これは実用段階になればさほど問題にならないのであるが,数理モデルに一般化する際,どこまで一般化すべきかの程度を計りかねている。
提案する非ファジィ化演算を周期型メンバシップ関数集合を台集合とした汎関数とみなして連続性の解析を行う。つまり,メンバシップ関数が少しだけ変化したら,それに伴って非ファジィ化の値も変化するかということである。この性質が得られれば最適制御の存在性を証明できる可能性がある。ファジィ推論への入力値である前件部変数に対する連続性,具体的には入力の変化に伴う推論結果の変化の連続性についても明らかにする。これらの連続性は最適化問題の解法や閉ループ系制御システムの状態方程式の解の存在性に大きく寄与する性質であると考える。以前行った色彩決定研究へ適用を試み,提案手法と従来手法を比較検討し優位性を明らかにする。さらに,応募者らがこれまで行ってきた最適制御問題に適用し,最適解の収束に関して考察する。一方で,1入力1出力の一般的なモデルを構築し,評価関数に極値を与えるメンバシップ関数を逐次近似する。
該当なし
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