研究課題
ファジィ推論における非ファジィ化演算で,メンバシップ関数のグラフの形状から台集合の1点を決定する際,周期関数の定義域の区間設定を適切に行わないと非ファジィ化されたクリスプ値である推論エンジンの出力値が意味を持たないものになってしまう。正確な値を得るためには台集合の平行移動が必要となる。本研究では,このように非ファジィ化の際に台集合の扱いが煩雑となる周期関数型のメンバシップ関数を極座標(円座標)変換し,座標を固定することにより一意に表す手法を提案した。この直交座標系から円座標系に変換し,閉じた平面図形として表された周期関数型メンバシップ関数からクリスプ値である特徴点(代表点)を抽出する非ファジィ化法について,通常のファジィ推論法で多く用いられている重心法の概念を踏まえた方法を提案した。この円座標上で求められた特徴点から直交座標系上の特徴点を定める手法を提案した。この点を非ファジィ値として推論結果とみなす。これらの提案手法の妥当性を確認するために,すなわち,円座標に変換後再び直交座標上で得られた非ファジィ値と,直交座標系上のまま座標軸の変換を行って得た非ファジィ値の一致をいくつかの数値例で確認した。提案手法を色彩決定の推論システムに適用した。色合いを表す色相は色相環であるのでメンバシップ関数として定式化すると周期関数となり上述のように台集合の扱いが煩雑となる。しかしながら本手法は通常のファジィ推論を適用するより平易な演算で推論できることが確認できた。
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