研究課題/領域番号 |
24700237
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研究機関 | 宇部工業高等専門学校 |
研究代表者 |
久保田 良輔 宇部工業高等専門学校, 制御情報工学科, 准教授 (50432745)
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キーワード | 遺伝的アルゴリズム / 粒子群最適化法 |
研究概要 |
本研究では,看護師の労働不可を軽減し,質の高い医療サービスを提供するため,勤務表作成に関する熟練者の知識を柔軟に取り入れたナース・スケジューリング法を開発することを目標としている. 今年度は,既存の看護師勤務表から知識を自動的に習得するため,ハミング距離およびレーベンシュタイン距離に基づく看護師勤務表内の局所ブロックパターンに対する類似性の解析を行った.ハミング距離とは,勤務表内の異なるブロックパターン間において,一致する要素の個数を表している.また,レーベンシュタイン距離とは,勤務表内のブロックパターンを文字列と捉えた場合,別のブロックパターンに変換する際に必要な置換・挿入・削除の回数を表している.解析の結果,レーベンシュタイン距離を用いて勤務表内の頻出パターンを算出することによって,ハミング距離を用いる場合と比較して,詳細な類似性を定義できることを確認できた. また,上記の解析と平行して,既存の探索法の改良を行った.本研究では,既存の探索法として,遺伝的アルゴリズムと粒子群最適化法を取り上げ,各種法について,改良アルゴリズムを提案した.まず,遺伝的アルゴリズムについては,個体の変動を取り入れた遺伝的操作を導入することにより,従来手法と比較して,効果的な探索を実現することができた.粒子群最適化法については,集団内における各粒子の自己最良位置の混合成分を新たに加味することにより,従来手法と比較して効果的な探索を実現することができた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度までの研究により,看護師勤務表から知識を習得するための基盤は整いつつある.また,探索するための手法に関しても,複数の方法について検討しており,種々の実験の結果,それぞれの手法に関する利点と欠点も明らかにすることができている. 今後は,看護師勤務表内の頻出ブロックパターンの抽出を確率的近傍埋め込み法に基づいて行う必要があり,この点については,当初の予定と比較して若干遅れているものの,探索手法の検討については,当初の予定より早く進んでいるため,総合的にはおおむね順調に進展していると考えている.
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今後の研究の推進方策 |
今後は,まず,看護師勤務表内の頻出ブロックパターンの抽出を確率的近傍埋め込み法に基づいて行う予定である.確率的近傍埋め込み法については,従来から収束性の悪さが指摘されているが,初年度に改良を行ったアルゴリズムを用いることで,本研究にスムーズに適用できると考えている. 次に,上記で抽出した頻出ブロックパターンの組み合わせ最適化問題を,これまでに開発した探索アルゴリズムによって解き,与えられた制約を満たす看護師勤務表を作成し,その妥当性の評価を行う予定である. 最終的に,アルゴリズムの微修正と総合的な評価を行い,本研究を総括する予定である.
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次年度の研究費の使用計画 |
H25年度に購入予定であったノートPCについて、研究機関の外部で行う予定の作業を次年度に行うよう変更したため、次年度に繰り越すこととした。 また、論文の掲載費用の請求が当該年度中に間に合わなかったため、掲載費用に関する支出を次年度に繰り越さざるを得なくなった。また、研究成果を国際会議に投稿する予定であったが、論文の投稿が遅れたため、そのための旅費と学会参加費に関する支出を次年度に繰り越さざるを得なくなった。 昨年度からの繰り越しも含めて,投稿予定の論文と新たに得られた成果を国際会議にて発表するための旅費およびその参加費として使用する予定である。また、H25年度に購入予定であったノートPCを購入する予定である。 その他については、当初の予定通りに使用する予定である。
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