研究課題
本研究は、過去や現在に関する情報に焦点を当ててきた従来の情報検索に対し、未来に関する情報の検索技術および探索行動に焦点を当て、その評価基盤の構築を目的としている。平成26年度は、昨年度データ収集を完了した未来情報に関する検索行動実験の詳細な分析を実施した。その結果、検索ユーザは従来の主題に関するキーワードに加えて「将来」「展望」などの時間表現を追加する方略をとることが分かったが、これが必ずしも検索有効性の向上には結びつかないことが示された。したがって検索エンジンはこれらの時間表現を検索意図のトリガーとして利用することが必要であることが分かった。また、未来情報の検索には、過去や現在の情報入手が必要な場合が多く、これが未来情報の検索が困難な要因の一つであると推測される。テストコレクションに関しては、昨年度公開した時間的検索意図解析用のクエリ300と時間的検索用トピック50に対し、米国、英国、フランス、ドイツ、インド、中国、そして日本から9つの研究グループが計35の検索結果を提出した。平成26年度は、これら検索結果である約36000件の文書の適合性判定作業を人手で行った。その結果、未来情報に関するクエリは最新情報に関するクエリとの自動区別が難しいことが分かった。また、未来情報トピックで良いパフォーマンスを出したシステムは、時間要素に左右されないトピックでのパフォーマンスが低いなど、今後のシステム開発に関する知見が得られた。結論として、本研究では、未来情報を中心として時間的検索の詳細な行動パタンを解明できた。また、時間的検索意図に対応した検索エンジンの評価用テストコレクションを構築・公開し、世界中の研究グループに利用された。
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Information Processing and Management
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Proceedings of the NTCIR-11 Conference
巻: ー ページ: 429-437
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