研究課題/領域番号 |
24700244
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
斎藤 進也 立命館大学, 立命館グローバル・イノベーション研究機構, ポストドクトラル フェロー (70516830)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | ビジュアライゼーション / インフォグラフィックス / 3次元CG / 資料空間 / キューブ |
研究概要 |
本研究の目的は「大量の資料から「ものごとの成り立ち」を導き出すための情報デザインとシステムの構築」(=資料空間の可視化モデルの提示)である。 平成24年度においては、交付申請書にて提示した①【企画フェーズ】および②【開発フェーズ】に力点を置き、研究を進めた。 ①【企画フェーズ】においては、民間シンクタンクとの共同企画を立案し、上記の研究テーマに関連し独自に開発を進めているKACHINA CUBEシステム(KC)を用いた「経営情報のビジュアライゼーション」についての計画を策定した。また一方で、法学者および心理学者との企画会議を重ね、司法臨床の現場にKCを導入するための計画を策定した。加えて、政策決定支援や震災復興支援のための情報整理ツールとしてのKC活用法についての運用計画を策定した。 ②【開発フェーズ】においては、各種資料(データセット)に対し、ある種の「空間性」を付与するためのグラフィック技術の開発/改良に力点を置き研究を進めた。結果として、3次元幾何形状に関するアルゴリズムを一新することになり、KCの前バージョンと比して約10倍のデータを情報ビュアー内にプロットすることが可能になった。さらに、ビュアー内のプロットデータに対して「吹き出し」を表示することが可能になるなど、視覚化システムとしてのユーザビリティを向上させることに成功した。 平成24年において上記2フェーズが順調に進展したことにより、平成25年度に計画している③【システムテスト・フェーズ】、④【データ入力フェーズ】、⑤【公開運用フェーズ】、⑥【検証フェーズ】へと研究の力点をスムーズに移行していけるだろう。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成24年度の計画では、上述のとおり①【企画フェーズ】および②【開発フェーズ】を終了することを重視したが、大きな問題は起こらず、順調に研究が進んでいるといえる。①【企画フェーズ】においては、本研究が提示する3次元視覚化技術をどのように社会的に活用することができるかという観点から応用研究としての意義を十分に検討することができ、研究計画を具体化できた。この①【企画フェーズ】を進める中で、民間企業との共同計画が進展し、科研費受給以前に予定していた計画よりも社会的インパクトの大きな運用が期待できる状況となった。一方、その部分に労力を費やした分、地域アーカイブについての計画は、当初の予定よりも縮減することになった。 また、②【開発フェーズ】においても、交付申請書にて提示した「データダイビング機能」の実装やWeb用3次元CGライブラリの導入をほぼ完璧に実現することができた。むろん、本研究において開発は、フェーズに関係なく持続的におこなう作業であるが、システムの基盤がこの②【開発フェーズ】において概ね完成したことは、今後の研究を順調に進める上で大きな成果であるといえる。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度は、③【システムテスト・フェーズ】、④【データ入力フェーズ】、⑤【公開運用フェーズ】、⑥【検証フェーズ】へと、順次、研究の力点をシフトさせていく。 これらのフェーズにおいては、システムの本格運用と一般公開に向けて、システムの信頼性を確認する作業をおこなうとともに、実際にデータを入力し、システムの効果を実践的に検証していく。また、社会科学や情報科学の関連学会において本研究の成果を報告していく。 ここでの方針としては、応用研究としてのリアリティを持たせるため、民間企業の視点やシステムのユーザーの声を積極的に活動に反映させていく予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成25年度は、システムの開発環境が整った状態で研究活動を進めていくため、平成24年度と比べて使用する研究費の総額は小さくなる。一方で、平成25年度は、研究を完結させるために必要な予算執行が予想される。 先ず、本研究の成果を論文としてまとめる際に、関連の学術書の購入が必須となる。また、研究成果を周知させるため、学会や研究会、シンポジウムなどにおいて積極的に研究報告をおこなう予定であり、この点についても予算執行が予想される。 そして、平成24年度同様に、コーディングやデータ入力作業をおこなうアルバイターへの謝金が必要となる。
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