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2014 年度 実績報告書

「思い出」を生かした東日本大震災からの復興のまちづくり

研究課題

研究課題/領域番号 24700247
研究機関静岡大学

研究代表者

吉田 寛  静岡大学, 情報学研究科, 准教授 (30436901)

研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2015-03-31
キーワードガバナンス / 復興 / ビッグデータ / まちづくり / 物語 / 解釈
研究実績の概要

26年度は、前年度までの研究成果を踏まえて理論的な検討を深めた。アメリカUCバークレーに滞在し、Department of Political ScienceのMark Bevir教授の下で、復興ガバナンス、そして情報社会ガバナンス一般における物語と解釈の問題について理論的研究を進めた。
被災者の参加による被災地におけるパソコン愛好会等の活動おいて紡がれる一つひとつの物語が、コミュニティの復興、まちづくりのガバナンスにつながっていくという前年度までの復興研究の知見に対して、理論的な意味づけを行った。Bevir教授らとの議論を経て、2月にバークレー東アジア研究所での研究会で報告を行い、意見交換を行った。復興のまちづくりにおいて、物語は、復興への希望、復興計画立案、合意、協同のまちづくりを導く鍵となる。ただし、物語の外部的な押し付けや安易で陳腐な物語化は、かえって住民の主体的な復興の妨げとなる可能性が注意されるべきである。
また、Bevir教授の下でガバナンスに関する解釈についての一般的理論について研究を進め、データの蓄積・解釈・利用について、哲学的観点から理論構築を試み、社会情報学会におけるシンポジウム、学会誌等の媒体で報告した。ビッグデータを代表とする情報社会におけるさまざまな情報は、解釈されて意味づけされ、物語化されることでますます社会的な影響力を増大しつつある。ここで、それらの情報を解釈する権力が問題になり、ビッグデータをはじめとする量と質において膨大な情報については、巨大企業や行政等の権力的なコントロールが強まることを想定しなければならない。
以上の活動によって、25年度の拙著『「思い出」をつなぐネットワーク』(昭和堂、2014)で指摘した、ガバナンスにおいて言語と物語の果たす役割について、理論的重要性を確信すると共に、さらにその理論化の糸口をつかむ事ができたと思われる。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2015 2014

すべて 雑誌論文 (3件) (うちオープンアクセス 2件) 学会発表 (3件) (うち招待講演 3件)

  • [雑誌論文] 世界表象としてのビッグデータとビッグデータ・ガバナンス ~局所表象と分散表象の観点から2015

    • 著者名/発表者名
      吉田寛
    • 雑誌名

      社会情報学

      巻: 3巻3号 ページ: 113-126

    • オープンアクセス
  • [雑誌論文] 「震災3年目の社会情報学」(シンポジウム報告:2013年社会情報学会(SSI)学会大会シンポジウム12015

    • 著者名/発表者名
      一力雅彦、高野明彦、正村俊之、田中淳、吉田寛、橋元良明
    • 雑誌名

      社会情報学

      巻: 3巻3号 ページ: 64-86

    • オープンアクセス
  • [雑誌論文] ビッグデータ・ガバナンス2014

    • 著者名/発表者名
      吉田寛
    • 雑誌名

      第5回横幹連合総合シンポジウム(「日本発:モノ・コト・文化の新結合」)予稿集

      巻: 第5回 ページ: 92-95

  • [学会発表] 物語のガバナンス:東日本大震災被災地の復興支援活動から考える被支援者の主体性の問題2015

    • 著者名/発表者名
      吉田寛
    • 学会等名
      Bay Area Social Science Seminar講演会
    • 発表場所
      Barrows Hall, UC Berkeley(Berkeley, CA, USA)
    • 年月日
      2015-02-26
    • 招待講演
  • [学会発表] ビッグデータ・ガバナンス2014

    • 著者名/発表者名
      吉田寛
    • 学会等名
      第5回横幹連合総合シンポジウム「日本発:モノ・コト・文化の新結合」
    • 発表場所
      東京大学・本郷キャンパス(東京都文京区)
    • 年月日
      2014-11-29
    • 招待講演
  • [学会発表] 世界表象としてのビッグデータ2014

    • 著者名/発表者名
      吉田寛
    • 学会等名
      2014年SSI総会シンポジウム「ビッグデータの可能性と課題─監視・シュミレーション・プライバシー」
    • 発表場所
      中央大学駿河台記念館(東京都千代田区)
    • 年月日
      2014-06-14
    • 招待講演

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公開日: 2016-06-01  

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