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2012 年度 実施状況報告書

顔表情認知における母親顔特殊性をもたらす神経ネットワークの解明

研究課題

研究課題/領域番号 24700264
研究種目

若手研究(B)

研究機関札幌医科大学

研究代表者

篠崎 淳  札幌医科大学, 医学部, 助教 (30510953)

研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2014-03-31
キーワード顔認知
研究概要

本研究の目的は、母親の怒り顔に対する前頭前野内側部の特殊な反応(母親顔特殊性)について、母親との情動的関係性(愛着型)で説明可能かについて検討し、母親顔認知ネットワークと他者顔認知ネットワークとが2つの異なる神経基盤によって成り立っているのかを明らかにすることである。
神経基盤の領域間の関係性を調べるために本研究では閾値下刺激を用いた。被験者の母親の顔表情写真(笑顔・真顔・怒り顔)を撮影し、これをもとに閾値下刺激画像を作成した。閾値について具体的な値を決定するために、17人の被験者に協力してもらい、表情について被験者に回答してもらうことで、顔表情認知ができない閾値を求めた。その結果、ディスプレイの1フレームである16.7msの提示時間であれば顔表情認知が不可能であることを確認した。また、母親との情動的関係性を調べるために、愛着型を心理尺度を用いて数値化した。次いで、同じ17人の被験者に参加してもらい、fMRI撮像を行った。この際には、閾値下刺激提示時間として先に決定した16.7msの提示時間を用いた。各被験者はMRIスキャナの中で、自身の母親もしくは他者の母親の顔表情写真を見て、それが自身の母親かそうでないかをボタン押しにて判断した。他者の母親顔写真として他の被験者の母親顔写真を用いた。これにより、同じ顔写真でも、ある被験者にとっては自身の母親であり、ある被験者にとっては他者となることから、写真そのものの特徴を排除した実験デザインにできた。さらに対照実験として、自身の友人の顔表情写真を見たときの脳活動についても同様にfMRIを用いて撮像した。得られたMRIデータは、個人ごとに、SPMを用いて統計マップを作成した。また、被験者全員の拡散強調画像を撮像した。
これらのデータにより、次年度における脳内の機能的ネットワークモデル解析および解剖学的ネットワーク解析が可能となった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

計画では、1)心理尺度を用いた母親との情動的関係性の数値化、2)閾値上・閾値下刺激を利用した機能的MRI実験を行う予定であった。
1)については、17名にて心理尺度を記録し、数値化した。
2)については、17名にて機能的MRI実験を行い、個人レベルの解析を行った。
これらから、計画通りに進展している。また、実験に際して計測機器のトラブルが当初見込みよりも少なかったため、400千円を次年度に持ち越す。

今後の研究の推進方策

1.実験に際して計測機器のトラブルが当初見込みよりも少なかったため、400千円を次年度に繰り越し、この繰越研究費を使い、被験者数を増やして実験データの精度を高める。
2.機能的ネットワークモデルの検証:これまでに得られた機能画像をもとに、Dynamic Causal Modelを用いて、扁桃体と内側前頭前野の機能的関係性を調べる。
3.解剖学的ネットワークモデルの検証:これまでに得られた拡散強調画像をもとに、FSLを用いて、扁桃体と内側前頭前野の解剖学的関係性を調べる。
4.母親との情動的関係性と脳機能との関連を検討し、母親顔特殊性を担う神経ネットワークを明らかにする。
5.得られた成果を学会発表し、論文として発表する。

次年度の研究費の使用計画

次年度の直接経費600千円に、繰越金400千円を加えて1,000千円を使用する。内訳は、
被験者謝金:400千円
旅費:400千円
論文校正・投稿:100千円
消耗品:100千円

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2012 その他

すべて 学会発表 (4件) 備考 (1件)

  • [学会発表] Visual motion in audiovisual speech perception affects superior temporal sulcusl in English speakers more strongly than in Japanese speakers: An effective connectivity analysis2012

    • 著者名/発表者名
      Jun Shinozaki, Nobuo Hiroe, Taku Yoshioka, Masa-aki Sato and Kaoru Sekiyama
    • 学会等名
      Society for Neuroscience the 42nd annual meeting
    • 発表場所
      New Orleans
    • 年月日
      20121015-20121015
  • [学会発表] 視聴覚音声知覚の脳内統合機構の言語差2012

    • 著者名/発表者名
      篠崎淳、廣江総雄、吉岡琢、佐藤雅昭、積山薫
    • 学会等名
      第76回日本心理学会
    • 発表場所
      川崎市
    • 年月日
      20120913-20120913
  • [学会発表] ヒト脳の視聴覚情報処理における口の動き情報の上側頭溝への入力:脳領域間結合の日英母語者間の違い2012

    • 著者名/発表者名
      篠崎淳、積山薫、廣江総雄、吉岡琢、佐藤雅昭
    • 学会等名
      第14回日本ヒト脳機能マッピング学会
    • 発表場所
      札幌市
    • 年月日
      20120705-20120705
  • [学会発表] 運動前野は運動イメージと運動抑制の両方に関与する2012

    • 著者名/発表者名
      篠崎淳、村原貴史、齊藤秀和、原田邦明、長濱宏史、櫻井佑樹、花川隆、長峯隆
    • 学会等名
      第6回Motor Control研究会
    • 発表場所
      岡崎市
    • 年月日
      20120621-20120623
  • [備考] 札幌医科大学医学部神経科学講座業績

    • URL

      http://web.sapmed.ac.jp/physiol2/achievement.html

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公開日: 2014-07-24  

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