本研究では、母親と子の情動的関係性が、母親顔表情認知にどのような影響を与えるのかについて、閾値下刺激を用いてその神経基盤を明らかにすることを目的とした。研究には12名の大学生が被験者として参加した。バックワードマスキング法を用いて機能的イメージング実験を行った。この際には、短時間刺激(17ミリ秒)+長時間刺激(483ミリ秒)の組み合わせで、視覚刺激を行った。短時間刺激として、自身の母親の笑顔・真顔・怒り顔を提示した。さらに「知っている顔」効果を排除するために、友人の顔表情写真も用いた。 その結果、左側外側眼窩皮質が、自身の母親の怒り表情の無意識的知覚に関与することが示唆された。
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