研究課題/領域番号 |
24700270
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 独立行政法人理化学研究所 |
研究代表者 |
大橋 一徳 独立行政法人理化学研究所, 脳統合機能研究チーム, 研究員 (90617458)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 情報表現 / 多点電極記録 |
研究概要 |
本研究の目的は脳の内部状態に依存した動的情報表現の探索であるが、そのためには動物が特定の脳状態を任意に実現できる必要がある。24年度は1、受動状態、2、注意状態、3、記憶状態の3つの脳状態を動物が実現できるようにするためfixation task,dimming task, delayed match-to-sample taskの3つのタスクをニホンザルがこなせるように訓練を行った。現在、サルはタスクに応じて必要とされる行動をとれるようになっており、訓練の目的である異なる3つの脳状態の実現がほぼ達成されている。また、タスクの訓練と併行して覚醒動物から多点電極を用いて複数の神経細胞活動を同時に記録するためのプロトコールを確立するための実験を初期視覚野を用いて行った。本実験では下側頭葉の物体コラムから記録を行うつもりであるが、その状況を模するため初期視覚野の方位コラムのイメージングを行った後、多点電極からの記録を行った。この記録により複数のシングルユニットおよびローカルフィールドポテンシャルを得ることができた。記録されたデータは今後必要とされるスパイクソーティングなどの解析手法の検討に使用された。同時に複数の多点電極を刺入するための条件の検討も行ったが、それにより複数の電極を円滑に使用することが可能な記録チェンバーおよび電極マニピュレータを開発することが出来た。上記の成果は本研究内容に直接関係する成果ではないが、今後研究を進めるために必要な下準備に対応するものである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
実験に使用する予定であった動物が計測を行う前に死亡したため、新たな動物を用いて本研究は進められている。この新しい動物の訓練は全くゼロから行う必要があったため、その時間のロスのせいで当初の予定よりも計画が遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
動物の訓練、実験プロトコール、計測機器といった下準備は完了しているので次年度からは実際に下側頭葉からの神経活動を実際に記録していく予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
前述のとおり、使用予定であった動物が死亡したため研究の進捗が遅れ、それに伴いH24年度助成金の使用にも遅れが生じた。H25年度は今使用中の動物のためにH24年度の助成金を試薬、実験器具購入費として使用し、新しい動物には元から計上しているH25年度の助成金を使用する予定である。また、初期視覚野を用いた予備実験で得られたデータを解析するために必要な計算機のメモリ量が、当初予定していた以上に必要であったため十分な解析を行うこと出来なかった。そのため、より大きなメモリを持った計算機の購入に研究費を使用する予定である。
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