研究課題/領域番号 |
24700271
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研究機関 | 独立行政法人情報通信研究機構 |
研究代表者 |
篠崎 隆志 独立行政法人情報通信研究機構, 脳情報通信融合研究センター・脳機能計測研究室, 研究員 (10442972)
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キーワード | 認知科学 / 非侵襲脳機能計測 / 脳科学 / ブレインマシンインターフェース / MEG |
研究概要 |
本研究課題の最終目標である視野闘争状態における認知の遷移過程を明らかにするための脳磁界計測(MEG)の準備を行った。具体的にはMEG計測装置内で使用可能な2眼性の視覚刺激提示装置のセットアップを行うとともに定常的視覚誘発脳反応(Steady State Visual Evoked Field: SSVEF)の予備実験を行い、位相タグ付けの有用性を検証した。さらに視野闘争においてSSVEFを効率よく発生させるための視覚刺激等のパラメータの設計を行った。画像の提示には脳磁計測下でも使用可能なように非磁性体を用いて専用に開発したステレオスコープを用いた。前年度までのSSVEFの実験結果や先行研究における知見をもとにしつつ、予備実験としての脳磁計測の結果を合わせることによって最適な画像デザインを現在選定中である。 また本研究の研究成果を社会・国民に発信するために、前年度までに開発したSSVEFの新しい解析法の応用としてブレインマシンインターフェース(BMI)システムの構築を行った。既存の普及型脳波計に対し、MATLABから直接測定を制御するためのライブラリを独自に開発し、これを経由することによってリアルタイムで測定から解析まで一貫して行えるシステムを構築した。測定には研究室で開発されたカチューシャ型電極固定器具に同じく研究室で開発し特許も取得したドライ電極を合わせたものを用い、より日常的で簡便な測定が行えるようにした。構築したシステムに無線による遠隔操作可能な二足歩行ロボットを組み合わせることによって、脳波によるロボットの操作を実現した。これらのシステムは開発段階のものを一般公開にて展示、一般の方に試用して頂くことによって脳情報通信の研究について興味を持って頂くことに成功するとともにその実用性の検証も行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通り、本計画の本研究課題の最終目標である視野闘争状態における認知の遷移過程を明らかにするためのMEG準備を着実に進めるとともに、研究成果を社会・国民に発信するためにBMIシステムの構築を行い、脳波による二足歩行ロボットの操作を実現した。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は当初の予定通り視野闘争の本実験を行うとともに、今回開発されたBMIシステムによるアウトリーチ活動を実施する予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
本年度においては当初の予定を変更し、本研究計画で開発された脳反応の解析法を用いたアウトリーチ活動に重きを置いたため、当初計画されていた予備実験のための被験者費用が翌年度に持ち越されたことによる。これに応じて本研究課題のテーマについての会議への出張費用も削減可能となった。 次年度においては本研究計画の最終年度として、当初の目的である視野闘争の脳磁計測実験を大々的に実施する予定である。実験は複数の課題によって構成されるとともに、数十人規模の人員が必要であるため被験者謝金が多く必要とされる。さらに得られた結果を国内外の会議において発表するために出張のための旅費も必要とされ、論文投稿のための校正費用も必要とされる。またアウトリーチ活動において、脳波による二足歩行ロボットの操作を拡張するためにも物品購入の費用が必要である。
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