本研究の目標は,生存時間データにおけるDecision Treeの理論的基礎と,その臨床医学への応用である.最終年度である今年度も,引き続きC-indexの推定における理論的問題について取り組んだ.C-indexは,応答変数を生存時間とする統計モデルにおいて,応答変数と説明変数の関係を表す指標である.C-indexを推定する上で問題となる打ち切り症例について,Pencina et al. (2004)の概念であるusable pairを基礎において推定量の構築を行った.右側打ち切りのみでなく,左側打ち切りも含む二重打ち切りデータに対するC-indexは2種類構成することが可能であることが示され,またそのハイブリッドである推定量の構成も示唆された.二重打ち切りデータに関する結果は,論文執筆中である.また,より一般的な枠組みである区間打ち切りデータに対するC-indexについても,推定量の構成可能性が示された.これについては,統計量の理論的性質を引き続き調べていく予定である.
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