研究概要 |
主にIPTW法の理論的問題点の解決とそれに関連した理論研究を進めた。Robins et al.(2000)のIPTW法の問題点として指摘されているのは、曝露確率の逆数で対象者を重み付けた解析を行うことから、曝露を受ける確率がほぼ0である対象者が存在する場合に、推定結果が極端に重みの大きい対象者の結果に引っ張られ、不安定になることが多い点である(Cole and Hernan, 2008)。そこで当初計画していたのは、Robinsが提案したもう1つの因果効果の推定方法であるG推定法(Robins, 1997)の推定関数の、IPTW法の推定関数との類似性に着目し、これを利用して推定を行うという新しい方法を開発することであった。しかしながら、研究を進めていく段階でこの方法は精度は上がるものの、治療効果が個人間で一定でない場合にはバイアスが生じる事が分かった。そこで、重みの推定に用いる推定方程式自体を修正する方法に取り組んでいる状況である。また、当該年度中に当該研究に関連した統計理論の査読付き原著論文を論文を筆頭著者で2報、第二著者で3報発表した(Biostatistics 2012;13(3):455–67, International Journal of Biostatistics 2012;8(1):24,11-21, Epidemiology 2013;24(2):336–7など)。さらに、関連した論文が現在2報修正中、1報投稿中である。これらはいずれも本研究で目標としている因果曝露効果の推定方法に関する研究であり、意義が高いと考えている。
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