研究概要 |
Tahata, Yoshimoto and Tomizawa (2013) は,得られたデータに対して周辺同等モデル (Stuart, 1955) の当てはまりが良くない場合に,周辺同等性からの隔たりを測る尺度を導入した.導入した尺度は,Tomizawa, Miyamoto and Ashihara (2003) で提案された尺度の拡張である.先行研究の尺度が最大値を取るための条件は非常に厳しいものであるため,提案尺度ではそれを緩和した.また,提案尺度と拡張周辺同等モデル (Tomizawa, 1984) との関連性について述べ,提案尺度の妥当性を主張した.Tahata, Akinaga and Tomizawa (2013) は,対称モデル (Bowker, 1948) からの隔たりを測る尺度を導入した.対称性からの隔たりを測る尺度に関する研究は数多く存在する.提案尺度の利点は,隔たりを測る指標が直感的に理解しやすいことである.さらに,尺度の推定方法と尺度の推定量の漸近分布を与えた. 対称モデルがデータにうまく当てはまらないとき,その原因を考えるためにいくつかの対称モデルの分解が与えられている.Tahata, Yamamoto and Tomizawa (2013) は,累積2比パラメータ対称モデル (Tomizawa, Miyamoto, Yamamoto and Sugiyama, 2007),平均一致モデル,グローバル対称モデルを用いて,新たな対称モデルの分解定理「対称モデルが成り立つための必要十分条件は,累積2比パラメータ対称モデル,平均一致モデル,グローバル対称モデルのすべてが成り立つことである」を与えた.実際のデータ解析において対称モデルが当てはまらない場合に,この定理によってより詳細な解析が可能となった.
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