研究課題/領域番号 |
24700287
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研究機関 | 統計数理研究所 |
研究代表者 |
小山 慎介 統計数理研究所, 大学共同利用機関等の部局等, 助教 (20589999)
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キーワード | 揺らぎのスケーリング則 / 神経スパイク時系列 / 確率点過程 |
研究概要 |
本研究の目的は、神経スパイク時系列に見られる揺らぎを、スケーリング則の観点から特徴付ける方法を確立し、実データに応用してその有効性を確認することにある。本研究課題は、スパイク時系列に対するスケーリング則(統計法則)の定式化と実データ解析(手法開発も含む)の大きく二段階で実施する予定である。 本年度は、スパイク時系列の記述する確率点過程モデルに対して、間隔統計および計数統計のスケーリング則の導入し、それらの間のスケーリング関係式を導出することにより、定式化を完成させた。また、確率点過程におけるスケーリング則が生じるメカニズムを、拡散過程の初期到達時間問題の観点から解析した。 「揺らぎのスケーリング則(Fluctuation scaling)」と呼ばれる揺らぎの平均と分散の間に成り立つスケーリング則が物理、生物、社会現象に幅広く見られ、その普遍性が着目されている。この広い観点から本研究で提案するスケーリング則を位置付けた。 以上の結果を学会で発表し、論文にまとめて国際論文誌に投稿した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
神経スパイク時系列における揺らぎのスケーリング則の定式化を完成させたことにより、本研究課題の理論部分の目標を達成したと考えている。これにより、実データ解析のための枠組みが整った。
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今後の研究の推進方策 |
本年度までに整えたスケーリング則の理論・枠組みを用いて公開されている実データを解析し、神経スパイク発火揺らぎの特徴付けに本研究で提案する方法が有効であるかどうかを検証する。結果をもとに、神経生理学的・解剖学的知見と併せてスパイク発火揺らぎの統計法則の機能的意味を考察する。
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