研究課題/領域番号 |
24700288
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 統計数理研究所 |
研究代表者 |
小林 景 統計数理研究所, 数理・推論研究系, 助教 (90465922)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 国際情報交換 / 代数統計学 / ベイズ統計学 |
研究概要 |
本年度はロンドン・スクール・オブ・エコノミクスのHenry Wynn教授のもとに一ヶ月滞在し,交付申請書の研究実施計画のプロトタイプの一つであった,代数的計算手法を用いた統計的漸近推定理論とアルゴリズムを,幾何学的統計,情報に関する国際学会GSI2013に投稿し,審査員からの高い評価で受理された.(審査員3人の平均が5点満点で4.7)また,この研究とは別に,ロンドン・スクールオブ・エコノミクス滞在中にWynn教授と,データの複雑な構造に基づく新しい距離規準についての研究を開始した.これは,代数学を用いた新しいデータ構造の記述,解析手法の提案であり,次年度の研究課題となった. また,データが木構造を持つような英単語心内辞書データの並べ替え検定の改良,木グラフの集合がなす単体的扇上の測地距離を用いた検定手法の改良を行った.また共同研究者の折田充教授(熊本大学)を始めとする英語学習研究者グループによる新たな実験により採取されたデータを用いての解析を行い,それらについて行動計量学会でセッション講演を行った. さらに,同じ尤度関数とサンプルを用いてベイズ解析した際の,2つの事後分布間の「遠さ」は,その規準をうまく設定してやると,(具体的にはDe Robertis分離度とよばれる手法を用いて両者の分離度を測ると)事前分布の関数のみで上から抑えられることを研究代表者は既に発表している.この内容をDe Robertis分離度以外に拡張する際に,凸性やダイバージェンス理論が重要な役割を果たすことを示し,国際学会IMS2013や統計関連学会連合大会などで発表した.本研究の内容は,大規模ランダム行列への応用が期待される.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は,予定していた代数統計学の専門家であるロンドン・スクール・オブ・エコノミクスのHenry Wynn教授との共同研究を行い,また1ヶ月のロンドン滞在中に頻繁に研究打ち合わせを重ねた結果,これまでの成果のまとめと,新たな課題の提案をすることができた.これにより,初年度である本年度の目標は概ね果たせた.
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今後の研究の推進方策 |
Wynn教授との研究をさらに進めるため,4月にWynn教授を日本に招き,また研究代表者も,ロンドン・スクール・オブ・エコノミクスに滞在する.本年度の研究成果について,国際学会GSI2013で発表する.大規模ランダム行列理論についても,専門家との研究打ち合わせを行う.一方,木構造を持つデータの解析や,DeRobertis分離度を用いたベイズ解析など,代数を用いた統計学の応用や,関連性が期待される分野もさらに進める.
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次年度の研究費の使用計画 |
Wynn教授との研究打ち合わせのため,ロンドン・スクール・オブ・エコノミクスに滞在する.また,パリで行われるGSI2013に参加する.必要に応じて,図書,PCに周辺機器などを購入する.
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