研究課題/領域番号 |
24700293
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
磯村 彰宏 京都大学, ウイルス研究所, 研究員 (70512466)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | システム生物学 |
研究概要 |
本研究では、細胞周期や分化の進行過程において、短時間周期 (2~4時間) の生物時計が形成する遺伝子発現ネットワークの動態を解明し、その生物学的意義を明らかにすることを目的とする。特に、短周期生物時計 Hes1 によって制御される転写因子群に注目し、蛍光レポーターによって細胞周期や筋分化の進行状況もモニターすると同時に、生物発光レポーターを用いて転写活性の時系列変化を 1 細胞レベルで明らかにする。本年度の研究では、細胞周期及び筋分化誘導過程の進行を可視化する蛍光レポーターと、転写因子の短周期ダイナミクスを可視化する発光レポーターを構築し、1細胞ライブイメージングを行うための基盤技術を整えた。 まず、筋分化の進行過程についてはMyogeninプロモーター下流にVenusを繋げることで筋分化スイッチがONになるタイミングを可視化することに成功した。また、近赤外蛍光タンパクのiRFPにFucci技術を適用することで、細胞周期の進行過程を近赤外蛍光で可視化することに成功した。これにより、蛍光3色(YFPとRFPとiRFP)と発光1色の4チャネルの細胞動態の情報をライブイメージングすることが可能になった。さらに、Hes1、Cdkn1a(p21)、Gadd45g、Dll1 などといった因子のプロモーター下流に不安定化ルシフェラーゼを繋げることで、転写活性のリアルタイム観察が可能になった。現在、これらのレポーターを同時に発現する安定発現株を樹立し、そのライブイメージング観察を行なっているところである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では、蛍光レポーターによって細胞周期や筋分化の進行状況もモニターすると同時に、生物発光レポーターを用いて転写活性の時系列変化を1細胞レベルで明らかにすることを目標としている。本年度は特に蛍光レポーターの開発に関して、筋分化の蛍光レポーター技術を確立しただけでなく、近赤外蛍光タンパクによって細胞周期レポーターの可能性を大きく拡げることができ、次年度以降で計画していたライブイメージング観察を実施するための基盤を確立できた。転写活性についてもレポーターによるリアルタイム観察が可能になっており、おおむね順調に進展していると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
初年度の研究により、蛍光レポーターと生物発光レポーターによって、細胞周期や筋分化の進行と同時に転写活性の時系列変化を1細胞レベルでライブイメージング観察を実施するための基盤技術を確立できた。今後は、これらの技術を用いたレポーターを安定に発現する細胞株を樹立しつつ、同時にライブイメージングも行う予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度においても、主に培養細胞を用いた実験的研究を行なう。そのため、培養実験用の器具・試薬や、生化学実験用の試薬・器具などを購入するために研究費を使用する。また、研究を広く発信する目的から、学会発表なども積極的に行なう予定である。
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