研究課題/領域番号 |
24700300
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
森田 瑞樹 東京大学, 知の構造化センター, 特任研究員 (00519316)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 階層分類 |
研究概要 |
本申請課題の目的は,適応拡大が可能となる医薬品と疾患の組み合わせを発見するための一般的な知見を見出すことである。このために,既存の医薬品のうち複数の疾患に使用することができるものを分析し,同一の医薬品を使用することができる疾患間の類似度の分布,同一の医薬品を使用することができる疾患群の組み合わせの特徴と傾向,類似度の低い疾患同士でも使用できる医薬品の特徴と傾向,それらの疾患の特徴と傾向,のそれぞれを明らかにする。 平成24年度には,後の類似疾患群の解析に利用することを前提に,臨床症状に基づいた疾患分類を行うためのソフトウェア開発を行った。このソフトウェアに疾患について書かれた文章を入力すると,その中に含まれる症状の集合が出力され,その症状の集合を比較することで複数の疾患間の類似度が計算される。 疾患の症状についての記述は書き手によって様々であり,そのため同じ症状を表したつもりでも計算機は違う症状として認識してしまう。このソフトウェアでは症状表現の異なりを吸収しながら症状を抽出するため,こうした書き手による違いの影響を受けづらい。また,医療分野の文章では否定表現が多く含まれるため,否定表現がある場合には症状を抽出しないように工夫した。 開発したソフトウェアを医学辞書に対して適用することで,そこに含まれていたすべての疾患同士の症状の類似度が算出され,これを利用して疾患を階層的に分類することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初の目的では,上記の内容に加え,既存の疾患の階層分類を利用した疾患間の類似度計算のためのソフトウェア開発を行う予定であった。しかし,このソフトウェアは来年度以降の課題と共通している箇所があるため,来年度以降にまとめて行うことが効率が良いと判断した。
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今後の研究の推進方策 |
今後,疾患間の類似度の計算および階層分類を複数の方法で実現できるようにする。医薬品についても同様の計算ができるようにする。疾患と医薬品の関係を医薬品の添付文書から抽出し,既存の医薬品のうち複数の疾患に使用することができるものを分析する。つまり,同一の医薬品を使用することができる疾患間の類似度の分布,同一の医薬品を使用することができる疾患群の組み合わせの特徴と傾向,類似度の低い疾患同士でも使用できる医薬品の特徴と傾向,それらの疾患の特徴と傾向,のそれぞれを明らかにする。適応拡大が可能となる医薬品と疾患の組み合わせを発見するための一般的な知見を見出す。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成25年度には,医薬品の添付文書に書かれた情報を利用して国内で承認されている全ての医薬品のデータベースを構築する。また,医薬品の階層分類の計算ソフトウェアを開発し,医薬品の階層分類と疾患の階層分類と統合する。 具体的には,1.医薬品のデータベースをRDF形式によるデータベースとして設計する。このとき,医薬品についての情報は添付文書から得るため,添付文書に書かれている項目を収めるように設計する。2.医薬品の添付文書データをデータベースへ格納する(医薬品の添付文書データは平成24年度に購入する予定であったが,データの内容は毎年更新されるため,平成25年度に最新のものを購入するよう予定を変更した)。3.医薬品を階層的に分類するためのソフトウェアを開発する。4.医薬品と疾患の階層分類データベースを適応症(ICD-10)を介して統合する。
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