研究概要 |
神経科学において、複数の神経細胞から同時に電気活動が記録できる実験を行った場合に、細胞の応答特性と合わせて、細胞同士が繋がっているかを特定できることは重要である。その目的のためには、神経細胞の活動の相関を見ることが有効とされて、広く電気生理実験において用いられてきている。しかしながら、従来の相関係数を用いた推定方法だと、神経細胞の活動が非定常なトレンドを持ってドリフトしているような場合には、神経細胞間の繋がりを反映したものではなく、ベースラインのトレンドの時間発展の形のみを反映した誤った相関の値を推定してしまう。そこで、本研究においては、無限次元の情報幾何学を用いたセミパラメトリック推定を行うことで、ベースラインの活動がどのようなドリフトをする場合でも、ドリフトの影響は一切受けず、細胞間の活動の(ゆらぎの)相関を正しく推定する方法を開発した。またさらに、この推定方法がシミュレーションにより生成した時系列に対してうまくいくことを実証した。この成果は、以下の論文として出版された: Keiji Miura, “A Semiparametric Covariance Estimator Immune to Arbitrary Signal Drift” Interdisciplinary Information Sciences, Vol. 19 (2013) , No. 1, pp. 35-41.
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