今年度は、マウス主嗅球において、嗅覚入力を模した嗅球投射ニューロンの発火を効率的に引き起こす為に、optogeneticsを用いた投射ニューロンの活性化の手法を確立し、実験を行った。嗅球において投射ニューロン特異的にCreタンパク質を発現するProtocadherin21-Creマウスの嗅球に、チャネルロドプシンと蛍光タンパクの逆向きの配列がloxpで挟まれたアデノ随伴ウィルスを注入し、2週間待ち、嗅球の投射ニューロン特異的にチャネルロドプシンと蛍光タンパクであるmCherryを発現させた。まず、光刺激によって嗅球投射ニューロンの発火が引き起こせるかという点を調べた。その為に、in vivo麻酔下のマウスにおいて光刺激よって嗅球投射ニューロンの活動電位が引き起こされることを電気生理学的手法によって確認した。さらに、匂い入力によって引き起こされる活動と同様の嗅球投射ニューロン群の発火活動を引き起こすのに適した光刺激のパラメーターを決める為に、光刺激を行いながらLFPを計測した。これにより、200msecの光刺激が、匂い入力時に似たLFPの変動を引き起こすことを明らかにした。次に、GFPをコードするレンチウィルスによって、この遺伝子改変マウスの嗅球新生顆粒細胞を蛍光標識し、200msecの光刺激を用いて投射ニューロンを活性化した。嗅球における新生顆粒細胞が、投射ニューロンの活動依存的に既存の嗅球神経回路に組み込まれるかという点について、スパインの形態観察といった解剖学的な手法を用いて調べた。
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